研究概要 |
マスト細胞プロテアーゼ遺伝子の発現機構について調べた結果、転写因子MITFをコードしているmi遺伝子座に2個の突然変異をもつC57BL/6-mi/miマウスのマスト細胞では、mouse mast cell protease(MMCP)-4,5,6に加えて、MMCP-2,9の発現も低下していることがわかった。C57BL/6-mi/miマウスの培養マスト細胞にレトロウィルスベクターを用いて、野生型のMITFを導入して、MMCP-2,MMCP-9遺伝子の発現を調べた結果、C57BL/6-+/+マウスの培養マスト細胞と同程度にこれらの遺伝子の発現が回復した。このことはMITFがMMCP-2,9の発現に関与していることを示している。さらに、MMCP-2,MMCP-9遺伝子の5'上流域をクローニングして、各遺伝子の5'上領域に各々の遺伝子の転写を活性化するプロモーター領域があるかどうか調べた。その結果、MMCP-2,MMCP-9遺伝子の5'上流域のCANNTG配列にMITFが結合することによって、転写が活性化されていることが明らかとなった。またWB-+/+マウス由来培養マスト細胞ではC57BL/6-+/+マウス由来培養マスト細胞よりもMMCP-2,4,9遺伝子の発現が強い。しかしおのおのの遺伝子の5'上領域のMITFが結合するCANNTG配列はWB-+/+マウスでもC57BL/6-+/+マウスでも保存されていることから、MITFはマウスの系統によるプロテアーゼ遺伝子の発現の差には関与しないと考えられた。
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