研究概要 |
骨芽細胞は、1)骨髄造血系細胞の増殖に必要なM-CSFの供給、2)破骨細胞分化に不可欠な破骨細胞分化因子(RANKL)の発現を介して破骨細胞形成を支持する。私どもはマウスRANKL遺伝子5'上流プロモータ領域を解析した。putative VDRE(-937/-922)は典型的なDR3構造ではないが、vitD存在下でEMSA法にてVDR-RXRと特異的に結合した。同部位にmutationを導入したconstructを培養細胞に導入して転写活性を評価し、-937/-922がvitD作用に不可欠であることを示した。マウスRANKL遺伝子プロモータ領域のputativeなグルココルチコイド応答配列(-642/-628)についても、mutationを導入して転写活性を検討した。さらにプロモータ領域に存在するCpG islandのメチル化がRANKL遺伝子発現を制御することを示した。マウス培養ストローマ細胞ST2では継代数に依存して破骨細胞形成支持能とRANKL発現が低下する。RANKL遺伝子高発現のPassage9(P9)に比して低発現のP16では、外因性に導入したpromoterの転写活性には差がないが、内因性のpromoterの遺伝子転写開始部位周辺のCpGにメチル化修飾を受けていることを示した。 悪性腫瘍骨転移巣におけるRANKL発現を検索するために、マウスおよびヒトRANKL遺伝子に特異的なプローブを作成してin situ hybridization法を行いRANKL mRNAを検出した。 以上の成果は、英文誌に投稿した(BBRC, Histochem Cell Biol, J Pathol)。また、成果の一部は第89回、第90回日本病理学会総会、第18回、第19回日本骨代謝学会、第22回、第23回米国骨代謝学会議、第23回IAP総会にて発表した。
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