研究課題/領域番号 |
12670216
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
竹腰 進 東海大学, 医学部, 講師 (70216878)
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研究分担者 |
永田 英孝 大日本製薬株式会社, 薬理研究所, 研究員
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2000年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | Diacylglycerol / Protein kinase C / Lipid peroxidation / Signal transduction / Glutathione peroxidase / MAP kinase / MEK / Erk / diacylglycerol / lipid peroxidation / oxidative stress / ERK / tau |
研究概要 |
本研究では、過酸化DAGが特定のPKCアイソザイム(δ)の活性化を介して病変を引き起こすことを厳密に検証し、その分子機構をシグナル伝達経路の各ステップで精査し、更に、過酸化DAGによる情報伝達異常、細胞傷害作用を抑制しうる防御因子の探索を試みた。その結果、以下の成果を得た。(1)PKCδアイソザイムを発現せず過酸化DAGにより変性・細胞死を起こさなかったラット胎児大脳初代培養神経細胞に、PKCδ遺伝子を組み込んだ組換えアデノウイルスベクターを感染させPKCδ高発現細胞を作成した。この細胞に過酸化DAGを作用させたところ神経突起のビーズ状の変性をともなった神経細胞変性・細胞死が引き起こされたが、δを発現していない初代培養神経細胞をはじめとすると、種々のコントロール細胞では、全く細胞傷害は認められなかった。このことから過酸化DAGによる神経細胞傷害はδアイソザイムが依存性であることが判明した。(2)δ高発現細胞を用い、過酸化DAGにより誘導されるPKCδ過剰活性化による情報伝達異常の分子機構を解析した結果、過酸化DAGによりRaf→MEK→Erk(MAPKpathway)のカスケードが活性化され、最終的にはtau蛋白の過燐酸化が誘導されることが判明した。(3)生体内脂質過酸化防御因子であるグルタチオンペルオキシダーゼ(GSH-PO)およびGSH-PO様活性を有する薬剤が、過酸化DAGによる神経細胞傷害を有意に抑制することが明らかとなった。これらの実験結果から、過酸化DAGは、特定のPKCアイソザイム(δ)を活性化することにより、Raf→MEK→ErkのMAPキナーゼカスケードを活性化し、最終的にはTau蛋白を過燐酸化することにより神経細胞傷害・細胞死を起こすことものと結論された。また、この神経細胞傷害作用は、抗酸化酵素、抗酸化物質により抑制され、生体中における抗酸化酵素の重要性が明らかになるとともに、外来性の抗酸化物質による酸化ストレスの抑制、防御が可能であることが示唆された。
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