研究概要 |
腸球菌性フェロモンレセプターTraA familyの機能・構造解析を目的に研究を行った。 1.TraA family蛋白、pAD1 TraA(319aa), pPD1 TraA(321aa)のChimera蛋白をStrep-tag融合蛋白として作成、精製した。 2.chimera蛋白のフェロモン結合能を、ラジオアイソトープを用いずに無修飾のフェロモンを用で観察することの出来るPPAC(peptide associated protein-tag chromatography)を開発した。 3.chimera蛋白のDNA結合能および信号伝達能をDPAC法で、フェロモン結合能をPPAC法で観察した。 4.16個のキメラ蛋白の作成、精製を試み、このうち10個のキメラ蛋白が精製された。10個のキメラ蛋白の内8個がDNA結合能を示し、4個がフェロモン結合能を示した。PNA結合能を示したものの内3個がフェロモン結合能を示した。 5.pPD1TraAのN末、C末それぞれをpAD1 TraAに置換したキメラ蛋白を観察した。N末から149アミノ酸が保たれていれば、pPD1 TraA型のDNA結合をすること、N末から146アミノ酸以降がpPD1 TraAのアミノ酸配列を持てばpPD1 TraA型のフェロモン結合をすることが分かった。 6.N末から149アミノ酸までが、DNA結合ドメイン、146アミノ酸以降がフェロモン結合ドメインと推定された。 7.TraA family蛋白(pAD1 TraA, pPD1 TraA, PrgX)のお互いのDNA結合部位に対するDNA結合特異性(選択性)を、DPACを用いて証明した。 8.野生株より、新たに、複数のフェロモンに反応するバンコマイシン耐性に関わるプラスミドを見いだした。 9.腸球菌を用いた、in vitro過剰発現実験のための新規vector(藤本作成)を用い、pAD1 traAがtrans-actingであることを明らかにした。また、腸球菌から蛋白を直接、親和精製し、これをDPACに使用可能であることを示した。
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