研究概要 |
1.ある種の細胞において、精製レンサ球菌cADPR合成・分解酵素の添加によって細胞増殖抑制が観察された。この細胞増殖抑制効果はNADを添加した状態でも観察された。この細胞増殖抑制効果は,L929細胞Vero細胞、CHO細胞等の細胞株では観察されなかった。ハイブリドーマ細胞株を用いて、免疫グロブリンクラス・サブクラスの変化を観察したが、明確な免疫グロプリンクラススイッチは検出できなかった。 2.これまで本酵素をStreptococcus pyogenesの培養上清から精製してきたが、in vivo酵素投与を行うには大量の酵素が必要となる。そのためHistidine-tag、GST fusion、Intein fusion等を導入したcADPR合成・分解酵素遺伝子を構築し大腸菌に発現させて、簡単に本酵素を精製する可能性を模索してきた。結果として、行った全ての試みは成功しなかった。その主たる理由は、塩基配列の確認も含めベクターの構築に問題はないが、大腸菌において発現させるうちにベクター中の挿入配列部に遺伝子変異が起こることにあった。以上の状況から,大腸菌を用いた通常のfusion protein発現系を本酵素に用いることは困難であると結論づけられた. 3.急性咽頭炎からのβ溶血性レンサ球菌(BHS)の分離 (1)1患者から培養した初代培養寒天平板上のBHSコロニーの血清群・血清型はhomogeneousであった。 (2)一般に頻用されている迅速診断キットではA群BHS以外の群は検出できないことを考慮すると,少数ではあるがA群以外のBHSによる咽頭炎が存在することに注意する必要がある. (3)コミュニティにおいて棲息するA群BHSは,常にダイナミツクに入れ替わっている。
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