研究課題/領域番号 |
12670256
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
細菌学(含真菌学)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
横田 憲治 岡山大学, 大学院・歯学総合研究科, 講師 (00243460)
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研究分担者 |
小熊 恵二 (小熊 惠ニ) 岡山大学, 大学院・歯学総合研究科, 教授 (00002262)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | Helicobacter pylori / T helper 1 and 2 / heat shock protein / DNAチップ / 粘膜免疫 / MALTリンパ腫 / Heat shock protein / ヘリコバクターピロリ / HSP60 / IgGサブクラス / Th-1 and Th-2 / CD40L |
研究概要 |
1)rHSP60のヒト免疫系に対する機能解析 MALTリンパ腫患者は、HSP60に対する自己抗体ができることを報告した。この機序を解明するため、MALTリンパ腫の患者を、GM-CSFとIL-4存在下(抗原提示細胞を強く誘導)にHSP60で刺激し、リンパ球の反応を調べた。抗原刺激により、MALTリンパ腫患者のリンパ球からは、T helper2(Th-2)の免疫反応に進んだときに産生されるサイトカインであるIL-4が産生された。これに対し健常人や胃炎患者のリンパ球からは、IFN-γの産生が多く認められた。IFN-γはTh-1の免疫反応が進んだときに産生されるサイトカインであり、MALTリンパ腫患と胃炎患者では、宿主の免疫反応が異なることが考えられた。またCD4細胞よりB細胞への抗原刺激に重要なco-stimulatory signalであるCD40 ligand(CD40L)の発現を調べたところ、MALTリンパ腫患者のリンパ球ではHSP60の抗原刺激によりCD40Lの発現が増えることが確認された。菌全体を使った抗原刺激では、胃炎患者MALTリンパ腫患者のCD40Lの発現に差は認められなかった。これらの結果よりMALTリンパ腫患者では、HSP60に対するTh-2の液性免疫反応が強く誘導されB細胞の増殖が起こることが判明した。このTh-2優位の反応の関わる遺伝子の発現をDNAチップにより解析した。患者リンパ球をHSP60で刺激後、mRNAを抽出し、サイトカインやサイトカインレセプター、細胞表面マーカーなど1100の遺伝子を解析した。MALTリンパ腫患者では、HLA-DRの発現が増強し、T細胞への抗原提示能が高まること、逆に胃炎患者ではCystatinAなどのプロテアーゼインヒビターの発現が高まり、エンドサイトーシスされた抗原の処理に阻害がかかる可能性が示唆された。またMALTリンパ腫患者では、TNFやGranzymeBのようリンパ球による細胞傷害に関わる遺伝子の増強が認められた。さらにB細胞の増殖や、粘膜内の浸潤にかかわると思われるIL-4やIntegrinなどの遺伝子が発現していることが判明した。 2)感染動物実験による宿主因子の解析 これまでの我々の実験や他の報告より、H.pyloriに感染してもマウス系統によって、胃炎の程度が異なることが知られている。そこで、あらかじめ感染させたマウスに大腸菌のリコンビナント易熱性毒素をアジュバントとして、rHSP60を鼻腔より免疫した。HSP60に対する粘膜局所免疫反応を誘導し、マウス系統による炎症の差を検討した。Th-1優位なB57BL/6でもTh-2優位なBALB/cマウスでもHSP60を用いた局所免疫により、感染早期から胃炎が早期(1ヶ月)に高率(90%以上)に発症する事を認めた。またT細胞を活性化しやすいアミノ酸配列を含んだ領域を部分発現させたHSP60を免役すると、胃炎の発症が強く誘導された。この免疫方法で長期的な観察も行ったが、炎症は強くはなく、免疫学的寛容になった可能性が示唆された。
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