研究課題/領域番号 |
12670269
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
細菌学(含真菌学)
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
西野 武志 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (50097838)
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研究分担者 |
大槻 雅子 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (30121552)
後藤 直正 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (30121156)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | インフルエンザ菌 / 多剤耐性 / マクロライド系抗生物質 / 排出ポンプ / AcrAB / 特異抗体 / MIC / 外膜蛋白 / AcrAB排出系 / マクロライド薬 / BLNAR / 俳出蛋白 / 薬剤耐性 / 抗体 / 外膜コンポーネント / 排出蛋白 / 14員環 / 16員環 |
研究概要 |
インフルエンザ菌の抗菌薬に対する耐性機構には、β-ラクタム薬の標的部位であるペニシリン結合蛋白質(PBP)が変異した耐性菌BLNAR(β-lactamase-negative ampicillin -resistant H.influenzae)や排出ポンプによる耐性化などが知られている。私どもは、平成12年度の研究によりインフルエンザ菌(H.influenzae)のRND型AcrAB異物排出システムが、Macrolide系抗生物質をはじめいくつかの抗菌性化合物の排出に寄与している事を明らかにした。さらに同定されていなかったAcrAB様排出システムの外膜コンポーネントの探索を、インフルエンザ菌のGenome Databaseを利用して行い、大腸菌のAcrAB排出システムの外膜コンポーネントであるtolC遺伝子と37%の相同性を示す遺伝子(locus number HI1462)を発見し、これがインフルエンザ菌AcrAB排出システムの外膜コンポーネントであることを実験的に証明した。平成13年度はインフルエンザ菌の薬剤感受性にどの程度排出蛋白が関わりを持つのかを詳細に調べるために、acrA遺伝子がコードするHI0894蛋白、acrB遺伝子がコードするHI0895蛋白、そしてtolC遺伝子がコードするHI1462それぞれの特異抗体の作製に取りかかった。まずインフルエンザ菌の標準株ATCC10211から熱抽出でchromosomeを得てこれをPCR法の鋳型として用い、増幅した遺伝子を発現ベクターpProEX-Htaに組み込んだ。クローニングが成功したトランスフォーマント大腸菌を誘導物質であるIPTGで蛋白を過剰発現させ、菌体を破砕後、蛋白を抽出しCBB染色法、Western Immuno-blot法などで目的とする蛋白であるかを確認した。得られたAcrAおよびTolC様蛋白が共に不溶性であったため、8MUreaで溶解し、その蛋白をNi2+アフィニテイーカラムを用いて精製した。そして十分量精製した後、濃縮を行い、抗体作製の抗原蛋白とした。AcrB内膜蛋白に関しては、今回の条件では成功しなかった。 平成14年度は作製した抗体を用いてATCC10211及び臨床分離株(48株)におけるAcrAの発現量を定量し、さらに感受性を寒天平板希釈法により求め、感受性と発現量との関連性を比較検討した。その結果、すべての株においてAcrAの推定分子量と思われる位置に発現を確認できた。この事よりこのインフルエンザ菌のAcrAB異物排出システムは構成的に発現している事が確認できた。臨床分離株(48株)中にAcrA過剰発現株が検出され、その株においてMacrolide系抗生物質に対する感受性の低下が見られた事によりAcrAB異物排出システムがMacrolide系抗生物質耐性の一因となっている可能性が示唆された。
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