研究課題/領域番号 |
12670284
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
冨山 宏子 熊本大学, エイズ学研究センター, 助手 (50301370)
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研究分担者 |
滝口 雅文 熊本大学, エイズ学研究センター, 教授 (00183450)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | CD8 T細胞 / HIV-1増殖抑制 / サイトカイン / 細胞障害活性 / HLAクラスI / down-regulation / nef / エスケープ / 細胞傷害活性 / Nef / HIV-1 / 特異的CD8 T細胞 / テトラマー / perforin / エフェクター細胞 |
研究概要 |
HIV-1感染者では感染初期から高頻度のHIV-1特異的CD8 T細胞が誘導される。しかしながら、HIV-1は感染者の細胞性免疫能を逃れ、完全に排除されることはない。HIV-1感染細胞では、Nef蛋白の作用により特異的CD8 T細胞に抗原を提示するHLA-ClassI分子の発現が低下しており、この現象が、HIV-1がCD8 T細胞の認識を免れる機序の一つではないかと推察されている。われわれは、HIV-1野生株及びHLA-ClassIの発現を阻害しないHIV-1 Nef変異株を感染させたCD4 T細胞を用いて、HIV-1特異的CD8 T細胞の感染細胞に対する認識を細胞傷害活性及び液性因子の誘導について検討した。その結果、HIV-1特異的CD8 T細胞クローンは野生株感染細胞に対して細胞傷害活性を示さなかったがNef変異株感染細胞に対しては特異的細胞傷害活性を示した。一方、これらのCD8 T細胞クローンはNef変異株感染細胞で刺激したものより低頻度ではあったが、約50%のHLA-classI分子の発現低下が見られた野生株HIV-1感染細胞の刺激によっても、IFN-γ、TNF-α、MIP-1βを産生した。また、HIV-1特異的CD8 T細胞は野生株感染細胞と共培養することにより、HIV-1の増殖を部分的に抑制した。同様の実験で、Nef変異株の増殖は特異的CD8 T細胞によって完全に抑制された。これらの結果から、HIV-1が感染者の体内においてもHIV-1特異的CD8 T細胞は主にサイトカインの作用により、HIV-1の増殖を部分的に抑制していることが推察された。本研究の結果から、Nef蛋白によるHLA-ClassI分子の発現低下はHIV-1特異的CD8 T細胞の感染細胞の認識低下に大きく影響し、この現象が、HIV-1が感染者の体内で完全に排除されないことにかかわっていることを示唆することが出来た。
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