研究課題/領域番号 |
12670287
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
稗島 州雄 近畿大学, 医学部, 講師 (10322570)
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研究分担者 |
義江 修 近畿大学, 医学部, 教授 (10166910)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2000年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | ケモカイン / Fcキメラ / HIV-1 / RANTES / SDF-1 / CCR5 / CXCR4 |
研究概要 |
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)がCD4陽性T細胞に侵入する際の細胞側コレセプターとして、R5ウイルスはケモカイン受容体CCR5を、X4ウイルスはケモカイン受容体CXCR4をそれぞれ利用する。これらケモカイン受容体を生体内でブロックした際に起こりうる副作用およびHIV-1の感染阻止効果については未だに不明瞭である。我々はこれらの問題を明らかにするためにRANTESおよびSDF-1とそれぞれのアンタゴニストのMet-RAMTESおよびP2G-SDF-1をヒトIgG1由来のFcドメインに結合させたキメラタンパク(RANTES-Fc、Met-RANTES-Fc、SDF-1-Fc、P2G-SDF-1-Fc)を作成した。まずそれぞれのケモカインに対する拮抗作用をin vitroで検討したところ、P2G-SDF-1-Fcには有意なアンタゴニスト活性を認めたが、以前の報告とは異なりMet-RANTES-Fcには認められなかった。そこでP2G-SDF-1-Fcに絞ってX4ウイルスのin vitroでの増殖抑制効果を検討したところ、SDF-1-Fc、P2G-SDF-1-Fcともに抑制作用が観察された。次にin vivoでこれらSDF-1-Fcキメラの作用を検討した。まずBALB/cマウスでのSDF-1、SDF-1-Fc、P2G-SDF-1-Fcの血中半減期はそれぞれ<1h、4h、9hで、Fcキメラの延長効果が確認された。また、腹腔内へのP2G-SDF-1-Fcの大量投与では骨髄内のPre-B細胞(B220^+CD43^-)および未熟B細胞(B220^+IgM^+)の減少を認め、CXCR4遺伝子欠損マウスの所見とよく一致した。そこでin vivoでのHIV-1増殖に対する効果を検討するため、ヒト末梢血リンパ球を移植した重症複合免疫不全症マウス(hu-PBL-SCIDマウス)にX4ウイルスを感染後、これらのキメラタンパクを連続投与した。その結果、PBSに比べてSDF-1-Fcではかえってウイルス増殖の促進効果があり、P2G-SDF-1-Fcではさらに増強していた。SDF-1-FcやP2G-SDF-1-FcによるHIV-1の増殖促進のメカニズムについては現時点では全く不明であるが、CXCR4をブロックする薬剤の使用には慎重を期すべきと考えられた。
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