配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
1)ホルモン投与後のシナプスの形態変化の観察 海馬切片のCA1領域のEPSPを確認し,形態観察用の染料としてDi-Iを用い、oil drop法によりCA1細胞層を染色し、各種ホルモン(糖質コルチコイド,女性ホルモン)投与4時間後のシナプスの撮影ならびにEPSPの記録を行った。その結果、糖質コルチコイドの投与で有意の減少が認められた。 2)海馬切片の組織培養手法の確立およびPC12培養細胞を対象とした画像記録手法の確立 2〜3日齢のラットから摘出した300μmの海馬切片を,1〜4週間培養した。その結果,培養細胞は培養後21日まで良好に生育するが,その後数日で急激に死亡することが認められた。また,PC12培養細胞を用いて,トリブチル錫(TBT)のアポトーシスに及ぼす影響を検討した。TBTの濃度を10^<-12>から1g/Lの範囲で培養液に添加し,アポトーシスヘの影響をTUNEL法により調べたところ,10^<-12>から10^<-3>の範囲で有意にアポトーシスを減少させることが明らかとなった。 3)環境ホルモンの海馬切片長期増強に与える影響の計測 海馬スライスの興奮性シナプス後電位EPSPが安定であることを確認し,投与条件ではトリブチルスズ(TBT)の濃度を5μMとした。30分間EPSPを記録した後,電気的な高頻度刺激を加え長期増強を誘導し,その後1時間のEPSPを観察した。5μMTBTの投与により,対照実験に比べ長期増強の度合いが減少し,高頻度刺激後30分と60分では両群の間に有意な差が認められた。また,一部のスライスでは長期増強が誘導されないなど,誘導そのものへも影響がある場合があった。長期増強の誘導にはグルタミン酸受容体の一種であるNMDA受容体が関与し,通常の反応にはNon-NMDA受容体が関与している。したがって,本研究の結果からNMDA受容体が損傷されたことが示唆された。
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