研究課題/領域番号 |
12670326
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
車谷 典男 奈良県立医科大学, 医学部・医学科, 教授 (10124877)
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研究分担者 |
森永 謙二 大阪府立成人病センター, 調査部・参事
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 除草剤 / 林業労働者 / 歴史的コホート研究 / 死因分析 / ダイオキシン類 |
研究概要 |
ダイオキシン類の健康影響、特に癌の死亡リスクへの影響を明らかにすることを目的に、2.3,5-Tを含む除草剤の散布作業を行っていた国有林の林業労働者を対象として、歴史的コホート研究を実施した。 複数の名簿に基づいて列挙した2266人のうち、住所情報が揃っていた2091人をコホートとして設定し、それらの者の生死を明らかにするとともに、死亡者にあっては死亡診断書記載事項証明書を法務省の許可を得て入手し、ICD分類に従って原死因を決定した上で、過剰死亡の有無をSMRとその95%信頼区間により評価した。 除草剤散布を担当した職種に属していた男性966人のうち224人が死亡していたが、これらの者の心疾患死亡のSMRは0.58(95%信頼区間:0.39-0.85)、脳血管疾患も0.58(0.37-0.85)と、いずれも全国平均を有意に下回る状況を示し、全死亡のSMRも0.69(0.61-0.79)と有意に1を下回った。女性の場合、除草剤散布作業の担当職種であった造林担当者192人中16人が死亡していたが、そのSMRは0.43(0.26-0.69)と全国平均を有意に下回る死亡状況であった。心疾患と脳血管疾患は例数が少なかったため信頼区間の幅は広かったが、男性と同様、点推定値は1を下回っていた。苗畑担当者64人の結果も同様であった。これらの成績はhealthy worker effectの存在を示唆するものであった。一方、全悪性腫瘍のSMRはこれら男性が0.70(0.56-0.86)、女性の造林担当が0.78(0.41-1.42)、苗畑担当が1.42(0.67-2.91)と同じく全国平均を下回る死亡状況であり、部位別癌の死亡状況についても特記すべき結果はなく、今回の対象者に過剰死亡を示す癌は認められなかった。 しかし、分析対象とした者の死亡割合は20%前後にとどまっていること等から、確定的な結論を得るにはさらに追跡と慎重な検討を要すると考える。
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