研究概要 |
京都府内の事業所における従業員2,130人を対象に、2001年5下旬に健康関連QOLとしてのEurQol EQ-5Dについての調査を行い、1,367人より回答が得られ、回収率は64.2%.であった。このうち、QOL調査前の1年間にこの事業所に継続して在籍していたことが確認できた1,241人が解析対象者であり、これは回答者1,367人の90.8%、全従業員2,130人の58.3%であった。 解析対象者は男性1,043人、女性198人、でり、年齢の範囲(レンジ)は18-65歳であり、平均年齢は男性43.8歳女性40.3歳であった。最も多い年齢階級は、男性で50歳代35.5%、女性で30歳代が32.8%であった。 EuroQolは「移動の程度」、「身の周りの管理」、「ふだんの活動」、「痛みや不快感」、「不安やふさぎ込み」の5項目についての3段階の回答選択肢から回答するもので、それぞれの回答選択肢の組合わせに対して標準的な日本人集団をもとにした評価点数である効用値が定められており、最低-0.111、最高1.000の範囲の数値で表現されるものである。回答の効用値は0.444〜1.000に分布し、最も良いQOLの状態である1,000点は72.4%を占めていた。 この集団の2006年6月から2001年5月までの診療報酬明細書(レセプト)を調査した。QOL調査前の1年間に受療ありの者の割合は、効用値1.000の者で87.8%・効用値1000未満の者で92.4%であり、効用値1.000の者に有意(P=0.021)に低かった。全般的にみて、QOL調査前の直近1ヶ月から直近1年において効用値の低い群、すなわちQOLがより低い従業員において診療報酬点数が高い傾向がみられ、QOLが過去の受療の影響を受けた指標であることが示唆された。
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