研究概要 |
愛知県がんセンター病院を受診した乳がん患者と非がん女性患者を対象にして、女性ホルモン代謝酵素の遺伝子多型に関する症例対照研究(乳がん患者239人、非がん患者186人)を行った。参加者より、文書による遺伝子多型測定の同意を得て採血を行い、簡単な生活歴についても聴取した。遺伝子型の決定は主にPCR-RFLP法を用いた。 平成12年度と平成13年度の2年間に女性ホルモンの作用に影響すると考えられるcytochrome p450 17(CYP17)C-34T、cytochrome p450 19(CYP19)Trp39Arg、catechol-O-methyltransferase(COMT)Val158Met、interleukin(IL)1B C-31Tの遺伝子多型および、肥満に関与すると報告されたbeta-adrenoceptors2(BAR2)Gln27Glu,3(BAR3)Trp64Arg、発がん物質の代謝に関与するNAD(P)H : quinone oxidoreductase1(NQO1)C609T、発がん機構に関与するp53Arg72Pro、transforming growth factor(TGF)B1T29Cと乳がん発生リスクの検討を行った。 CYP17 C-34T, CYP19 Trp39Arg、COMT Val159Met、BAR3 Trp64Arg、NQO1 C609Tとの間には乳がんリスクとの間に関連は見られず、BAR2 Gln27Gluでは初産年齢が25歳以下の女性で27Gluアレルを持つ女性でリスクが有意に低かった。IL-1B C-31TではC/C型に比べT/T型の相対危険度は0.54(95%信頼区間0.33-0.90)で有意に低く、閉経後女性については0.29(0.14-0.61)であった。
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