研究概要 |
1.早期死亡例におけるastrocyte変化の検討 Astorocyte(AC)核濃縮像の有無を様々な死因の解剖例について検討した。法医解剖例48例(縊死,絞死,扼死,溺死,失血死等)の脳梁標本をglial fibrillary acidic protein(GFAP)免疫染色してACを観察したところ,27例に核濃縮を認め,うち25例は受傷後1時間未満で死亡した例であった。逆に1時間未満で死亡した27例のうち25例に核濃縮像を認めた。特に,受傷後短時間で死亡した絞死、扼死例では全例に核濃縮を認めた。失血例では1時間未満死亡例全てに核濃縮を認めた一方、それ以上の生存例には認めなかった。以上のことから,AC核濃縮像の観察は受傷から死亡までの期間を推定する上で有用であるものと考える。 2.部位別のAC核濃縮像の検討 刺創に基づく失血によって受傷後数分で死亡した例と銃創に基づく失血によって受傷後ごく短時間で死亡した例について核濃縮像を脳の部位別に検討したところ,数分生存例では脳梁・大脳白質にのみ核濃縮像を認め、短時間死亡例では,脳梁・大脳白質・脳幹・小脳全てに濃縮像を認めた。 3.グリア細胞変化の総合的検討 CHPase染色によるoligodendroglia(OG)の観察では頭部外傷例の早期死亡例にのみ核濃縮を示すOGが染色された。RCA1染色によるmicroglia(MG)の観察では,早期死亡例においては変化は認められなかった。
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