研究概要 |
ICRマウスを用いてアコニチン(ACO)とテトロドトキシン(TTX)を混合投与したときの複合毒性と体内動態について検討した.マウスにACO単独投与群(0.3mg/kg)とTTX単独投与群(10μg/kg),TTXとACO混合投与群(TTX15μg/kg,ACO 0.3mg/kg),いずれも腹腔内投与しえられた血清をカラムスイッチングLC/MSにて測定した.カラムスイッチングはTTXとアコニチン系アルカロイド及びその代謝物について,前処理をしないで,直接血清をプレカラムに注入して行った.TTX分析は逆相/陽イオン交換のマルチモードカラムを,アコニチン系アルカロイド及びその代謝物の分析は逆相/疎水性マルチモードカラムを用いて,ESI,positive modeで良好なLC/MS分析結果がえられた.TTX,ACOをそれぞれ単独投与した群と混合投与した群について,死亡率と生存時間について検討した.TTX,ACO単独投与群は,TTXとACO混合投与群(TTX+ACO群)に比べて,死亡率も低く,生存時間も長かった.TTX投与群の血清中TTX濃度は5,15,30,45,60分でそれぞれ0.9,0.8,2.4,1.4,0.7ng/mLであった.ACO単独投与群の血清ACO濃度は,(TTX+ACO群)に比べて高値を示したが,ACOの主要代謝物であるベンゾイルアコニン(BAN)濃度は低値を示した.以上のことから,TTXの影響下でマウス体内におけるACO代謝に何らかの変化が生じていることが判明した.
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