研究課題/領域番号 |
12670423
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
内科学一般
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉崎 和幸 大阪大学, 健康体育部, 教授 (90144485)
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研究分担者 |
松本 智成 大阪大学, 健康体育部, 助手 (10311763)
西本 憲弘 大阪大学, 健康体育部, 助教授 (80273663)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2000年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | キャッスルマン病 / IL-6 / ヒト型化抗IL-6受容体抗体療法 / 血管新生 / VEGF / AAアミロイドーシス / 血清アミロイドA / HHV8 / KSHV |
研究概要 |
1)multicentric Castleman's disease(MCD)の病態形成に肥大リンパ節からのIL-6の過剰産生によることを我々は示したが、肥大リンパ節はリンパ慮胞の過形成、形質細胞の増成に加えてヒアリン化した血管の新生がしばしばみられる。今回、本疾患の血管新生の病態解析を目的とした。本疾患患者をヒト型化抗IL-6受容体抗体(MRA)でIL-6機能阻害治療を行ったところ、血管新生にかかわるVEGF、IL-8、MIP-1α、bFGF、HGF等のサイトカインの中で、血中レベルのVEGFが治療効果と高い相関を示した。また、IL-6は可溶性IL-6受容体存在下でHUVECあるいは皮膚血管内皮細胞の増殖を抑制し、VEGFによる増殖に対しても抑制した。免疫組織化学法にてリンパ節中の形質細胞がVEGFを産生することを見いだした。以上のことからIL-6は形質細胞から産生されるVEGFによる血管新生を抑制していることが示唆され、本疾患における血管新生にVEGFとIL-6とのネガティブフィードバック機構が存在することを示唆した。 2)MCDはserum amyloid A(SAA)の産生亢進がみられ、しばしば二次性アミロイドーシスを合併する。今回IL-6による二次性アミロイドーシスの原因となるSAA1の発現機構を肝癌由来のHepG2を用いて解析した。IL-6,IL-Iβ,TNFα刺激でSAA1,SAA2,SAA4がmRNAの発現をreal time PCRにて検討したところ、SAA1の発現は、それぞれ単独刺激では発現増強は10倍、5倍、1倍程度であったが、IL-6とIL-1βで100倍以上の相乗効果が認められた。しかし、IL-6とTNFαでは増強効果は認められなかった。さらにMRA追加により相乗効果は消失した。以上のことよりIL-6はSAA1発現に必須で、IL-6阻害による二次性アミロイドーシス治療への可能性が示唆された。 3)HIV感染症におけるカポジ肉腫あるいはBody cavity Blymphoma(BCBL)が関与すると考えられている。この合併機序は不明である。HHV-8はB細胞またはカポジ肉腫細胞に感染し、ウィルスIL-6(vIL-6)を産生し、HIVはCD4^+T細胞またはマクロファージに感染し、ヒトIL-6(hIL-6)を産生する。このためMCD発症におけるHHV-8とHIV感染の意義を検討した。HHV-8の複製はlylic geneのORF26mRNAをreal time PCRで定量的に測定した。HIVの複製はP24で定量した。その結果、HIVの感染したマクロファージ(U-1細胞)からIL-6は産生され、rhIL-6はBCBL細胞の増殖とHHV-8の複製を誘導した。また、vIL-6はU-1細胞からのHIVの複製を促進した。以上のことから、両ウィルス間にIL-6を介したクロストークの存在が確認され、IL-6を阻害することによってHIVのみならずHHV-8により生じるMCD、カポジ肉種等の合併症の治療が可能であることを示唆した。
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