研究概要 |
インターロイキン-12(IL-12)は,関節リウマチ(RA)の滑膜T細胞のインターフェロン-γ(IFN-γ)産生を選択的かつ強力に誘導した。一方,IL-18には直接的なIFN-γ誘導活性を認めなかったが,IL-12で誘導されるIFN-γ産生はIL-18により増強し,抗IL-18抗体により著明に低下した。したがって,RA滑膜に多量に存在するIL-18のTh1型免疫反応における役割は,発現の乏しいIL-12のIFN-γ誘導活性を増強することにあるものと推定された。 RA末梢血CD4+T細胞に有意なIL-12受容体(IL-12R)β1/β2鎖の発現を認めなかったが,抗CD3抗体刺激により誘導されるIL-12R発現は健常人CD4+T細胞より強かった。また,RA滑膜に浸潤したCD4+T細胞の一部にIL-12Rβ1/β2鎖発現がみられ,IL-12Rβ2鎖の転写活性を認めた。滑膜CD4+T細胞のIL-12R発現は,抗CD3抗体とIL-18の刺激により増強された。一方,RA末梢血CD4+T細胞にはIL-18Rα/β鎖の構成的な発現を認め,その発現は健常人より強く,滑膜CD4+T細胞ではさらに発現が増強していた。IL-12Rβ1/β2鎖は主にIL-18Rα鎖発現細胞に誘導され,RA滑膜CD4+T細胞の大部分はIL-18Rα鎖発現能をもつIFN-γ産生細胞であることを明らかにした。また,IL-12,IL-18で活性化されたT細胞では,それぞれ転写因子STAT4,NF-κBの活性化が誘導された。したがって,選択的浸潤あるいは発現増強によりRA滑膜に集積したIL-18R+CD4+T細胞は,CD3およびIL-18を介した刺激により機能的IL-12Rが一部細胞に誘導され,IL-12およびIL-18に対する反応性を獲得したIFN-γ産生Th1細胞として機能することが示唆された。 さらに,RA滑膜T細胞におけるTh1選択的CXCR3ケモカイン受容体の発現を明らかにし,また,CD4+T細胞はTh2関連抗原とされるCD30分子の発現能が低下しており,RA関節内ではCD30+CD4+T細胞はアポトーシスにより除去される可能性を示した。
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