研究課題/領域番号 |
12670446
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
内科学一般
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
善本 知広 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (60241171)
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研究分担者 |
筒井 ひろ子 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (40236914)
岡村 春樹 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60111043)
中西 憲司 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60172350)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2001年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2000年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | アレルギー / IL-18 / IgE / caspase-1 / アトピー性皮膚 / アトピー性皮膚炎 |
研究概要 |
アレルギー発症の原因因子としてのIL-18の意義付けを検討し、当該研究期間内に以下の結果が得られた。 1)IL-18はIL-3の共存下に好塩基球やマスト細胞に作用して、IL-4、IL-13そしてヒスタミンの産生を誘導する。2)IL-18はIL-2の共存下にナィープCD4^+T細胞に作用して、CD40リガンドの発現とIL-4の産生を誘導する。3)ナイーブCD4+^T細胞は抗原刺激存在下にIL-18で刺激されると、T細胞由来のIL-4によって、Th2細胞に分化する。4)無処置のBAL/cマウスにIL-18を単独投与するだけで、投与量に依存して血中にIL-4とIL-13の産生が誘導され、更にIgE産生が誘導さる。一方、5)IL-4Rα鎖遺伝子欠損マウス、IL-4遺伝子欠損マウス又は、CD4^+T細胞を除去したBALB/cマウスにIL-18を投与してもIgE産生は誘導されないこと、さらに6)可溶型IL-13Rα2を投与してIL-13活性を中和したBALB/cマウスにIL-18を投与してもIgE産生は誘導されないことから、IL-18によるIgE産生誘導はCD4^+T細胞から産生されるIL-4に依存していることが明らかとなった。最後に、5)caspase-1(IL-18前駆体を成熟型IL-18に変関する酵素)トランスジェニックマウスを作製した。このマウスは、出生初期から血中IL-18は高値を示し、高濃度のIgEを産生し、ヒトのアトピー性皮膚炎に類似した疾患を発症する。6)卵白アルブミン特異的T細胞レセプターを発現するトランストランスジェニックマウス(DO11.10)に抗IgD抗体を投与すると、Th2細胞の誘導が認められないにも関わらず、IL-18産生の上昇に伴ってIgE産生が認められた。7)この抗IgD抗体によるIgE産生は、抗IL-18抗体の生体内投与によって内因性IL-18を中和することで抑制された。以上の結果から、DO11.10マウスへの抗IgD抗体によるIgE産生誘導は、IL-18による"自然型IgE産生"の有効な実験モデルマウスと考えられた。8)アトピー性皮膚炎のモデルマウスであるNC/Ngaマウスでは、皮膚炎発症前から血清IL-18が高値を示し、IgE抗体が上昇するに従って皮膚アトピー様症状を発症した。9)アトピー患者と正常人のIL-18産生能を比較検討した結果、アトピー性皮膚炎患者血清中のIL-18値は高値を示し、IgE値との相関した。 以上の結果は、"IL-18の過剰発現に起因するアレルギーの発症"という全く新しいアレルギーの誘導メカニズムを提供するものである。この様な研究結果を通じて、我々は生体内におけるIgE抗体産生には、アレルゲンが関与する"獲得型IgE産生"と関与しない"自然型1gE産生"があり、IL-18は"自然型IgE産生"の誘導因子であると考えるに至った。
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