研究概要 |
本研究では,炎症性腸疾患患者末梢血単核球中に増加しているhuman glucocorticoid receptor beta isoform(hGRb)発現細胞の機能およびこれを誘導する因子を解析し,炎症性腸疾患でみられるステロイド抵抗性および種々の免疫異常との関連を検討すること,またステロイド抵抗性を克服する方法を見出すことを目的とした。 平成14年度は, 1.潰瘍性大腸炎およびCrohn病症例の末梢血におけるhGRa, hGRb mRNAの定量を行い,hGRhの発現が活動期およびステロイド抵抗性潰瘍性大腸炎で3-10倍に増加していることを見いだした。 2.潰瘍性大腸炎におけるhGRb mRNA発現量の経時的解析を行い,誘導因子の侯補として炎症性サイトカインであるIL-18の関与を,血中濃度とhGRb mRNAとの関係が正相関であることから証明した。 3.hGRb mRNA低発現株であるCEMにIL-18を作用させると,hGRb mRNAの発現が数10倍に増加すること,hGRb mRNA未発現の末梢血リンパ球ではIL-18がhGRb mRNAの発現を誘導することを明らかにした。 これらの結果から,潰瘍性大腸炎のステロイド治療抵抗性にIL-18の関与している可能性が示唆された。上記の結果はBiochem Biophys Res Commun 2002 Sep 6;296(5):1286-1292で報告した。 4.発現ベクターをクローニングし、hGRa, bそれぞれの標準蛋白を作成した。これを用いて、モノクローナル抗体を作成し、specificityを確認した。cross reactionが多く、EIA系の開発には至らなかった。
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