研究課題/領域番号 |
12670496
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
岩井 將 (岩井 将) 愛媛大学, 医学部, 助教授 (00184854)
|
研究分担者 |
堀内 正嗣 愛媛大学, 医学部, 教授 (40150338)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
600千円 (直接経費: 600千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
|
キーワード | 肝障害 / ネクローシス / アポトーシス / 交感神経 / カテコラミン / 肝類洞細胞 / サイトカイン / サイトカン / 神経内分泌素 / エイコサノイド / ATP / エンドセリン |
研究概要 |
本研究においては、肝交感神経及び内分泌因子がガラクトサミン肝障害におよぼす影響とそのメカニズムの検討を、肝を神経をつけたまま灌流する「肝-神経標本」を用いたex vivoの系と、培養細胞を用いたin vitroの系によって行った。その結果、以下に述べるような新しい知見が得られた。 1)ラットにガラクトサミンを投与し軽度に肝障害を引き起こした肝を灌流しながら肝神経を電気的に刺激すると、肝からのLDHとASTの漏出が増加し、肝細胞壊死の増加を示す。同様の結果は、神経刺激のかわりに門脈にノルアドレナリン、ATPなどの交感神経伝達物質あるいはエンドセリンなどの肝類洞細胞から産生される因子により得られることから、肝交感神経の肝障害増強作用は、肝細胞への直接作用のみではなく、肝類洞細胞からの放出因子も関与することを示唆している。2)また、ガラクトサミン肝障害において肝細胞のアポトーシスも増加しているため、アポトーシス促進因子として、TNFなどのサイトカイン産生を検討すると、肝神経刺激やノルアドレナリン投与に反応して、肝からのTNF及びIL-6放出が増加していた。しかし、サイトカイン放出の増加は、部分的肝切除後の再生肝においても認められるため、肝細胞の再生に関与している可能性も考えられた。サイトカイン放出はラットにガドリニウムを投与すると有意に低下することから、肝類洞細胞から行われていると考えられる。3)ラット肝から分離培養した肝細胞の培養液中にガラクトサミンを添加すると、濃度依存性に細胞死を引き起こした。同様の効果は肝類洞細胞の培養においても認められた。ガラクトサミンによる細胞死は、ノルアドレナリンやATPの添加により増強した。この現象は、肝実質細胞と非実質細胞の共培養系においても認められた。以上の結果から、肝交感神経による肝障害には、類洞細胞からの因子を含む複雑な経路が関与していることが判明した。
|