研究概要 |
〔試験研究方法〕 粘膜病変の検索として,雛感染モデルを用いて、eaeA遺伝子保有大腸菌AEEC(0103:H-)を10^8個/ml経口投与し,投与後3時間から3ヶ月間,経時的に投与菌の分離,腸管への付着状態,発現したattaching-effacing(AE)病変を観察した。また、当該大学に搬入された牛1,195頭のうち、下痢を呈した子牛100頭について病原・病理学的に検索した。 〔試験研究成績の概要〕 AEECを雛に投与し,経時的に観察したところ菌は投与後3時間目から1日目までの全例の盲腸内容物から平均8.67±0.41(log_<10>CFU/g±SD)の菌数値で分離され,また,投与後6日目にも1例から分離された。AEECの腸管粘膜への付着は,菌投与後3時間目から3週間目まで認められ,AE病変は菌投与後9時間目から3週間目まで認められた。感染初期,AEECは孤立して細胞の微絨毛表面に付着し,その後,細胞表面の微絨毛及び微絨毛基部のフィラメントが異常伸長し,表面に付着した菌は微絨毛に取り囲まれた。菌周囲の微絨毛は,その後,萎縮及び消失し,細胞膜はCup様の陥凹形成あるいは台座様突起物の形成が認められた。AE病変は陰窩の開口部を取り囲むように網目状に拡大し,粘膜組織には偽好酸球及びリンパ球の浸潤が著明となり,AE病変の拡大とともにリンパ濾胞の形成が確認された。感染後期にはAEECは粘膜から離脱し,粘膜は修復された。下痢発症牛の消化管内容物中からstx1,stx2およびeaeA遺伝子がそれぞれ24%(20/83),2.4%(2/83)および11%(9/83)検出され、stx1遺伝子保有株の割合が極めて高かった。
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