研究概要 |
1)肝炎患者における検討 C型慢性肝炎患者では、肝炎が増悪した時に、末梢血単核球のケモカインレセプターCXCR3陽性細胞の割合が増加する症例がみられた。また、インターフェロン(IFN)治療を受けたC型慢性肝炎患者の末梢血単核球でも、CXCR3陽性細胞が増加する症例がみられた。末梢血単核球のヘパラナーゼや肝組織における検討も進行中である。今後の研究においては、IFN単独治療のみならず、IFN+リバビリン治療において、血清HCV量とCXCR3陽性、かつ、CCR4陰性細胞の比率の変化や、Th1/Th2(IFNγ/IL-4産生)細胞の比率の変化との関連も検討する予定である。 II)肝癌細胞株における検討 6種類の肝癌細胞株(HuH-7,PLC/PRF/5,HepG2,Hep3B, HLE, HLF)とChang liver cellにおけるケモカインレセプター(CCR1〜10、および、CXCR1〜4)とヘパラナーゼの発現をTaq Han PCRで検討し、CCR6,CCR11,CXCR4,CXCR11の4種類のケモカインレセプターの発現の亢進を確認した。それ以外のケモカインレセプターの発現は、癌細胞株ではほとんどみられなかった。また、ヘパラナーゼは、HepG2以外の6種類の細胞株で、その発現が亢進していた。 肝癌細胞株においてCXCR4やCCR6、ヘパラナーゼの発現の亢進がみられたことより、これらが癌細胞の転移や浸潤のみならず、その増殖に果たす役割も検討していく必要があるものと考えられた。
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