研究課題/領域番号 |
12670519
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
渡辺 文時 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90231711)
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研究分担者 |
高橋 宏樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80256403)
銭谷 幹男 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (70138767)
戸田 剛太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40090500)
林 昭太 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80287276)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2001年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 自己免疫性肝炎 / 原発性胆汁性肝硬変 / 遺伝子多型 / CTLA-4 / IFN-γ / 疾患感受性遺伝子 |
研究概要 |
§平成12年度 自己免疫性肝炎(AIH)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)の発症および疾患活動性を規定するHLA以外の遺伝学的背景因子の詳細を明らかにすることを目的に、症例のDNAを用いCTLA-4の遺伝子多型を分析した。本研究は本学ヒト遣伝子解析研究倫理審査会の承認を得て行い、患者さんに血液の一部を本研究に用いることを説明し承諾を得た後に採血した検体を用いて検討した。 CTLA-4のエクソン1+49部位の1塩基多型解析により、PBCにおいてはTを有する割合が健常人に比し有意に多いことが示された。また、ATを有する症例は高年齢発症で、活動性も軽度である傾向があった。AIHでは症例数が少ないため統計学的有意差を得るには至っていないが、同様の傾向を認めた。 §平成13年度 昨年度はCTLA-4エクソン1+49部位の1塩基多型解析により、PBCにおいてはTを有する割合が健常人に比し有意に多いことが示し、ATを有する症例は高年齢発症で活動性も軽度である傾向があることを明らかにしたが、今年度はIL-12 p40遺伝子3'UTR TaqI siteをPCR-RFLP法にて遺伝子型解析し、INF-γ遺伝子+874 A/TおよびTGFβ遺伝子codon 10 C/TをARMS-PCR法で遺伝子型決定し、疾患感受性との関連を検討した。IFN-γ遺伝子型はPBCでは健常人に比べA/T型が有意に多かった(p<0.005)。PBC発症の相対危険度はCTLA-4:G/G型で2.34、IFN-γ:A/T型で2.95で、両方を有する場合は5.23と相乗的な増加し、これらの症例はUDCA治療に抵抗性を示した。一方、TGFβ、IL-12 p40の遺伝子型分布は患者、健常人間で有意差を認めず病態との関連も認めなかった。 以上よりCTLA-4、IFN-γの遣伝子多型がPBCの発症に単独かつ相乗的に関連し、病態や治療効果とも関連することが明らかとなった。AIHでも同様の傾向が見られたが、サンプル数が少なく統計学的有意差を得るには至らなかった。 §平成14年度 今年度はCTLA-4の遺伝子多型と機能の関連について解析し、CTLA-4の遺伝子多型がタンパクの機能変化と関連して病態に影響を及ぼすか検討した。具体的には、CTLA-4リガンドを発現したCHO細胞と各患者のT細胞を混合培養した後のT細胞増殖の程度を、トリチウムチミジンアッセイを用いて解析し、CTLA-4タンパクの機能を評価した。その結果、PBC症例に有意に多く認められたG/G型のT細胞活性化抑制機能はA/G型に比しむしろ強力なことが明らかとなり、PBCではCTLA-4のT細胞抑制機能が低下しているため自己免疫現象が生じやすいという仮説を実証するには至らなかった。従って、CTLA-4のPBCの疾患感受性への関与は機能変化を介したものではなく、遣伝子多型はマーカーとしての意義のみを有する可能性が示された。
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