研究概要 |
1)コアタンパク質のRNA結合領域を、タンパク質の断片を固定化したポリアクリルアミドゲルに^<32>P標識RNAを泳動してRNA結合領域を見るelectric retention assay(ERA)により調べたところ,コアタンパク質の4-18アミノ酸残基(RNA binding region I, RBR I)と46-80アミノ酸残基(RBR II)がRNA結合に関わっていた。このうちRBR Iのアミノ酸配列は他のRNA/DNA結合タンパク質、特にリボソームS8蛋白質と強い相同性が見られ、RNA/DNA結合モチーフPKP(QST)RK(S/T)(R/K)Rが予測された。 2)二つのRNA結合領域(1-90アミノ酸残基)を含むGST-コアタンパク質を作製し,24塩基配列の合成ヌクレオチドをプローブにしてゲルシフトアッセイ(EMSA)を行った結果,コアタンパク質は一本鎖(ss)RNAに比べ二本鎖(ds)RNAに高い親和性を示した。 3)dsRNAに強い親和性を示すことからインターフェロンで誘導される二本鎖RNA依存性プロテインキナーゼPKRに対する効果をin vitroで見たところ、コアは強い阻害活性を示した。 4)HCVゲノムの5'非翻訳領域(5'-NCR)と3'非翻訳領域(3'-NCR)をいくつかのRNA断片に分け,標識dsRNAとの競合反応でコアタンパク質の高親和性領域を調べた結果,センス鎖においては5'-NCRのル-プ3dと3a領域が,3'-NCRにおいては3'X tailにあるループ1とループ3が強い競合活性を示した。アンチセンス鎖においては3'X tailにあるループlとループ3のみが強い競合活性を示した。ところが3'X tailのループ1と3の間にあるループ2が加わると,ループ1あるいはループ3の競合活性はセンス鎖のみに見られた。以上のことから、コアタンパク質は3'X tail中のループ1とループ3にセンス鎖に対し高い親和性をもつことが明らかになった。
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