研究概要 |
20歳以上の健常成人男性8名を対象とし,電気的活動を抽出する電極には,直径1μmのウレタンコーティングの白金線をFine Wire電極として用いた.23G注射針をガイドニードルとして用い,超音波断層装置で,ガイドニードルを確認しながら傍胸骨部の内肋間筋(PARA:Parasternal Intercostal Muscles)および胸横筋(TS:Transversus Thoracis)にそれぞれ1対の電極を挿入した。挿入部位はPARAでは右の第3肋間、TSでは第4肋間を基本とした。気流量,呼気終末炭酸ガス分圧,動脈血酸素飽和度,口腔内圧と共に,生および積分された筋電図波形をデータレコーダに同時記録した. 平成14年度は姿勢変化がTSの呼吸筋としての活動に及ぼす影響を検討した.その結果,(1)呼息相に一致してTSに筋活動が観察され、TSが呼息筋であること、(2)右のTSでは,上半身を左に回旋させた時に電気的活動が観察され,回旋の角度を大きくするに従って、TSの筋活動が増加し、TSには,呼息筋としての活動に加えて,姿勢制御筋としての電気的活動が観察されること,また、(3)右のTSでは,上半身を正面に向けている際に比べて,左に回旋させている際に呼息性の電気的活動が強くなり,逆に右に回旋させている際に呼息性の電気的活動が抑制されることが明らかになり,TSに呼吸の制御と姿勢の制御の間の相互作用が観察されること、を明らかにした.
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