研究概要 |
相模原地区の常染色体優性遺伝様式をとる家族性パーキンソニズムの原因遺伝子同定を目指して研究を勧めてきた.現在までにα-Synuclein, Parkin, Tau, UCH-L1について相模原家系では報告されている変異を有しないこと,自験例とこれらの4遺伝子との連鎖しないことを示した.その後,全常染色体について約400種類のマイクロサテライトマーカーについてgenotypingを行い,連鎖解析ソフトウェアによりlod scoreの算出を行った.lod scoreの算出に使用したソフトウェアはパラメトリック連鎖解析はMINKとLINKMAPを,ノンパラメトリック連鎖解析にはGENEHUNTERを用いた. 2点解析の結果,D12S345でlod scoreが4.32と高lod scoreを得た.パラメトリック多点解析を染色体12番のD12S345周辺について行ったところ,D12S1631とD12S339に組み替えがあり,最大lod scoreはD12S85で4.7を得た.さらに同部位についてノンパラメトリック解析を行ったところD12S345で最大lod score24.9であった.非常に高いlod scoreを得たためさらに同部位についてハプロタイプ解析を行った.この結果,発症者全員は同じハプロタイプを示すと同時に,非発症者で同じハプロタイプを示した家系構成員が8名得られた.この8名のうち6名は平均発症年齢に達していないため,未発症者であると推定された.残り2症例については70歳以上の高齢で,自験家系は浸透率が100%でないことが推定された. 検討の結果,自験家系の原因遺伝子は第12染色体p11.2-13.1の約13.6cMに存在することが推定でき.PARK8として登録した.
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