研究課題/領域番号 |
12670720
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岡野 素彦 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (50261300)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 慢性活動性EBウイルス感染症 / EBウイルス / アデノウイルス / Chronic |
研究概要 |
重症慢性活動性EBウイルス(EBV)感染症症候群(Severe chronic active EBV infection syndrome : SCAEBV)は発熱・リンパ節腫脹・肝脾腫を呈し、汎血球減少および多クローン性の高ガンマグロブリン血症を伴う予後不良の疾患である。加えて、EBV増殖関連抗原である早期抗原およびカプシド抗原に対する著しく高い抗体反応とともに、病変組織および末梢血にEBVゲノムの増加を認める。さらに、経過中EBV陽性T細胞増殖性疾患・リンパ腫などを発症することが問題となる。近年、SCAEBVの病変組織におけるアデノウイルスII型(ADVII)ゲノム陽性例がしばしば認められ、ADVIIの混合活性化感染の存在も示唆されることから、今回本症候群5例の末梢血リンパ球を用いて、主にEBVおよびADVIIに対する感染動態を検討した。全例がADVII抗体陽性であり、末梢血リンパ球において2例はCD8-DR陽性細胞(10%以上)、2例はCD4-DR陽性細胞(10%以上)、また1例でCD20-CD23陽性細胞の増加(20%以上)を認めた。これらの増加した活性化細胞は全例EBVゲノム陽性であった。なお、2例がADVIIゲノム陽性であった(約1%)。ADVII陽性細胞の分画同定はできなかった。EBVあるいはADVIIを用いた試験管内感染実験では、有意なEBV感染T細胞のさらなる増加は無くEBV陽性リンパ芽球株の樹立も認めなかった。いずれの培養系でも著明な細胞変性効果をみた。サイトカインの検索では、特にインターフェロンーガンマの産生(<5-10 U/ml)・発現が低値であった。以上、増加した活性化細胞の分析より、SCAEBV症例の病態には相応する異質性を認めた。また、SCAEBV症例では体内においてEBV陽性細胞の増加を認め、試験管内ではそのEBV活性化および低インターフェロンーガンマ産生能が認められるにもかかわらず、主に培養中の著しい細胞変性効果によりEBV陽性リンパ芽球株の樹立をみない点が対照とした健康人にくらべ特徴的であった。これらのことから、SCAEBV発症機序として、何らかのEBV特異的免疫不全の存在と一部に認めたADVIIとともに未知のリンパ向性ウイルスの関与が示唆された。
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