研究概要 |
1.臨床的にSLO症候群が疑われる患者42名について7-dehydrocholesterol測定を行い,生後4か月女児1例で生化学的にSLO症候群と診断した. 2.新たに診断した生後.4か月女児例には,合成コレステロールを用いたコレステロール補充療法を開始し,現在臨床症状を観察しながら経口コレステロール製剤投与による治療効果の有無をみたところ,血清コレステロールのコントロールはある程度可能だったが,現時点では顕著な臨床症状の改善をみるに至っていない.今後さらに継続して経過観察する必要があると思われる. 3.SLO症候群の特徴的臨床症状をもち,生化学的に7-DHC高値を示した2例(96-003,97-021)について遺伝子解析を行った.96-003は1249番目のGがAに-塩基置換(CGG->CAG)しており,そのために352番目のArgがGlnに置換していた(R352Q).すなわち,96-003はR352Qのホモ接合体だった.97-021も96-003と同一の1249番目の塩基置換をヘテロにもっていた(R352Q).また,919番目のGがAに置換しており(CGC->CAC),そのために242番目のArgがHisに-アミノ酸置換していた(R242H).すなわち,97-021はR352QとR242Hのコンパウンドヘテロ接合体だった.本研究で解析した日本人SLO症侯群2症例ではこれまで報告のない2種類の新しいミスセンス変異だった. 4.3例(19歳男子,5歳男児,4ヵ月女児)について,その臨床的特徴について欧米例との比較検討を行った.3例ともに認めた所見は知的障害,小頭,哺乳障害,顔貌異常,停留睾丸,2-3趾皮膚性合趾症,低コレステロール血症だった. 5.臨床的にCDPX2が疑われる患者8名の血清8-dehydocholesterol測定を行い,3名で8-dehydrocholesterol高値を認めCDPX2と診断した. 6.これらの患者について,責任遺伝子Emopamil-binding protein(EBP).遺伝子の解析を行い,塩基置換によるノンセンスおよびミスセンス変異が明らかになった.
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