研究課題/領域番号 |
12670757
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
貴田 嘉一 愛媛大学, 医学部, 教授 (80093409)
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研究分担者 |
戒能 幸一 (戎能 幸一) 愛媛大学, 医学部・附属病院, 講師 (00204313)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 1型糖尿病 / NODマウス / 膵島炎 / FTY720 / 予防 / 免疫療法 / Tリンパ球 / 膵β細胞破壊 |
研究概要 |
今日、1型糖尿病は膵ランゲルハンス氏島(膵島)へのリンパ球の浸潤(膵島炎:insulitis)と膵島細胞成分に対する自己抗体の出現を主たる特徴とする自己免疫疾患と考えられている。これまで我々は1型糖尿病の動物モデルであるNODマウスやBBラットを用いて、(1)1型糖尿病における膵β細胞破壊のメカニズムの解明と(2)それを抑制するための有効な治療手段の開発をテーマに研究を行ってきた。近年、とくに(2)に関して、膵島炎出現後あるいは軽度耐糖能異常の出現後に開始しても膵β細胞破壊を抑制することができるinterventionの開発をめざしてきた。この理由は、ヒトの場合、何ら耐糖能に異常を認めずかつ膵島炎も起こしていない段階での確実な1型糖尿病の診断、予知は、現実間題として不可能であるからである。軽度の耐糖能異常が捉えられるか、免疫異常が起こり自己抗体が検出される時期に開始し、膵β細胞破壊を抑制できる治療法でなければ、事実上臨床応用は不可能である。 今回我々が実験に用いたFTY720は、リンパ球のhomingを促進し、循環リンパ球を末梢リンパ節、腸間膜リンパ節、Peyer板に集めることで免疫抑制効果を現す新しいタイプの免疫抑制剤である。この薬剤を雌性NODマウスに投与してその効果を検討した。膵島炎出現前の4週齢で投与を開始した実験でも、膵島炎が進行した10週齢で投与を開始した実験でも、糖尿病の発症は完全に抑えられた。さらに、顕性糖尿病が発症した後にFTY720を単独投与した実験では、生存日数が顕著に延長するというデータを得た。本研究では、このFTY720の1型糖尿病発症予防効果および治療効果のメカニズムを探るため、膵の病理組織学的検討や末梢リンパ球、脾リンパ球、腹腔リンパ節リンパ球を採取し、リンパ球数、リンパ球表面マーカーの解析も行った。主として本薬剤のTリンパ球の抑制作用によって生じた効果と考えられた。 本研究はまだ完了しておらず、FTY720の至適投与量の検討、さらに詳細なβ細胞破壊抑制効果の機序について今後検討していく必要があるが、臨床応用が期待できる治療法と考えている。
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