研究概要 |
パルボウイルスB19(B19)の免疫血清型は一種類と考えられている。我々はB19初感染後3年を経て再感染した症例を発見した。症例は9才男児で1991年に悪性リンパ腫(Ki-1型)を発症し化学療法を受け寛解後の1992年に同種骨髄移植を施行された後完全寛解中の児である。初感染(1991年)および再感染時(1994年)のB19DNAをPCR法で増幅しHpaI, PvuII, PstI, HindIII, NboIの5種の制限酵素で処理しその切断パターンからゲノム型を分析し同一と判定した。同時期流行の伝染性紅斑のゲノム型とは異なるものであった。症例では初感染B19が潜伏感染していて再活性化したものと結論した。 1992年1月から5月まで札幌医科大学付属病院で輸血された3,342の濃厚赤血球のB19感染状況について検索した。凍結保存された交差試験用セグメント血漿からB19IgM抗体とB19抗原をまずスクリーニングした。IgM抗体陽性は22検体、そのうちの11検体(0.33%)はIgG陽性かつB19DNA陽性で感染血液と考えられた。献血者においてB19血症の頻度が伝染性紅斑の流行年で高くなる傾向がある。1992年は流行年であり高いことが予測されたが、同時期の異なる地域での報告と比較しても高率であることから本方式での検索が感度および特異性が高くスクリーニングに有用と考えた。
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