研究概要 |
カイコ突然変異体レモンの幼虫の脂肪体に存在する、SPRとは異なるBH4合成酵素の詳細な検討の結果、本酵素はさらに2種類のカルボニル還元酵素(CR I, CR II)によって、構成されていることが判明した。CR IはPPH_4の6位の側鎖に存在する2つのカルボニル基のうち2'位を還元して1'-OX-PH_4を、CR IIはPPH_4の6位の側鎖に存在する2つのカルボニル基のうち1'位を還元して、2'-OX-PH_4をそれぞれ合成する。両者によって合成されたテトラヒドロプテリンは6位の側鎖に残った1',2'位のカルボニル基をCR I, CR IIが更に還元してBH_4を合成する仕組みであることが明らかとなった。 また、おなじ機能を持った還元酵素のヒトでの存在を検討する目的で、各種のヒト、アルド・ケト還元酵素(AKR1 family members)を用いてPPH_4からBH_4の合成の有無を確かめた。その結果、実験に用いたAKR1 family membersのうち、AKR1A1,1B1,1C1,1C2と1C4はPPH_4の6位の側鎖に存在する2つのカルボニル基のうち2'位を還元して1'-OX-PH_4をAKR1C3は1'位を還元して2'-OX-PH_4を合成する事が明らかとなった。しかしAKR1 family memberは、カイコのCRI, IIと異なり、側鎖の更なる還元を行うことは出来なかった。
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