研究課題/領域番号 |
12670805
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
皮膚科学
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
米田 耕造 秋田大学, 医学部, 講師 (60260626)
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研究分担者 |
真鍋 来 (真鍋 求) 秋田大学, 医学部, 教授 (30138309)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2000年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ケラチン / フィラグリン / ケラチン病 / ユビキチン / 角化細胞 / ユビチキン / 26Sプロテアソーム |
研究概要 |
ケラチンは細胞質内に線維状に分布する細胞骨格蛋白であり、細胞の形態維持に重要な役割を果たしている。現在、ケラチン遺伝子の変異により、細胞が機械的刺激に対して脆弱となり、その結果として種々の病変が形成される一連の疾患詳はケラチン病と総称されている。しかし現在ケラチン病の疾患概念が確立したものの、解決すべき課題は多々残されている。例えば水痘型先天性魚鱗癬様紅皮症の愚者表皮では、顆粒変性が見られ、角化関連蛋白の一種であるフィラグリンの過剰発現が見られるが、ケラチン遺伝子(この場合はケラチン1またはケラチン10遺伝子)の変異から何故このような現象が引き起こされるかに関しては全く分かっていない。また、先天性表皮水疱症患者の病変皮膚を、電子顕微鏡で観察すると、基底細胞の細胞質(特に核周囲)にケラチン蛋白の異常凝集物が観察されるが、有棘層より上層の細胞では、そのような凝集物の数は次第に減少し有棘層上層の細胞において消失する。これらの凝集塊が何故消失するかに関しても現時点ではその機序は解明されていない。更に一般にケラチン病では空胞変性(vacuolar degeneration)と呼ばれる病理組織像も観察されるが、何故このように細胞質に空胞が生じるかについてもよく分かっていない。今回のわれわれの研究自的は、ケラチン病に共通に認められる空胞変性が生じる機序ならびに異常ケラチン凝集塊の消失機序を明らかにすることである。平成13,14年度にかけて我々はトランスフェクション用コンストラクトを作製、Transient Transfectionの系を樹立することが出来た。今回の研究計画では、これらの機構に変異ケラチン蛋白のユピキチン化が関与しているのではないかという仮説をたて研究を行うところに最大の特徴があった。ユピキチンは蛋白質の品質管理に非常に重要な役割を果たしている蛋白質である。ユピキチンとそのパートナーであるプロテアソームの研究は近年未曾有の発展を遂げ、生命科学研究の重要な一分野をなしている。変異ケラチン14蛋白の発現と同時に細胞質には、ケラチン蛋白質の凝集物が見られるようになった。このような状態の角化細胞を抗ユピキチン抗体で染色し、蛍光抗体法および免疫電子顕微鏡を用いて観察し、実際にケラチン凝集塊がユピキチン化されているかどうかを確認したところユピキチン化されていることが判明した。おそらく変異ケラチン蛋白が正常ケラチンより高度にユピキチン化されているので、26Sプロテアソームにより選択的に分解されるため、細胞質に空胞(vacuolar degeneration)を生じるものと考えられる。今回の本研究は近年多大な注目を浴びているユピキチン・プロテアソームシステムに着目した非常に独創的なものといえる。更にこのシステムを利用した研究はケラチン病の病態生理の解明に寄与するだけではなくケラチン病の将来の治療法の開発に非常に役立つと考えられる。またケラチン中間径線維の構造と機能の理解に寄与するところが非常に大きいので、この研究が皮膚科学の発展に貢献する点は、まさに膨大なものがある。
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