研究概要 |
臨床的には白皮症であるHermansky-Pudlak症候群においてメラノソームの遊走の阻害による巨大メラノソームがあることを示した(Br J Derm,43:635,2000)。またメラノソーム遊走の際に重要であると考えられるライソゾーム上のタンパクRab3AおよびRabphillinがメラノソームに存在し、その制御をしているRabGDIは細胞質内に存在することを示した(Pigment Cell Res,13:332,2000)。これらのことより、メラノサイトの細胞内でのメラノソーム遊走には様々な蛋白が関連していることが示された。一方、脱リン酸酵素の一つであるSHP-2が細胞骨格形成や細胞遊走に重要であることを明らかにした(Oncogene,19:75,2000)。またドッキング蛋白の一つであるDok-1が色素細胞の遊走および細胞の接着と伸展に重要な役割を担っていること、またこのカスケードにはrasが関与することをin vitroで明らかにした(Mol Cell Biol,21:5437,2001)。これらのことよりSHP-2やDok-1などの細胞内刺激伝達系を変化させることによりメラノサイトの遊走を制御できる可能性が示唆された。一方、IL-12をtranfectしたB-16 melanomaではCD4+T細胞をin vivoにおいて除去することによって白斑が発生し、またmelanomaの縮小・消退が見られることを示した(J Invest Dermatol,115:1059,2000)。このeffector細胞はCD8+T細胞であり毛包およびmelanomaに浸潤しているのが観察された。このようにマウスにおいて実験的白斑のモデルを作成した。一方、器官培養をした毛包ではDOPA陽性のメラノサイトが出現すること、およびtyrosinaseのmRNAが検出できるようになることを確認した。
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