研究概要 |
抗アレルギー薬の作用機構を分子レベルで明らかにするためにウシ脳の粗抽出物を各種の抗アレルギー薬(Olopatadine, Amlexanox, epinastine, and Cromolyn)のdrug-affinityカラムにかけた。いずれの薬物についても結合タンパク質として90kd heat shock protein,14-3-3およびS100α、S100βが同定でき、こららのタンパク質は抗アレルギー作用に関係しているものと考えられた。これらのタンパク質は抗アレルギー薬のもつ眠気などの中枢神経抑制作用にも関係している可能性もある。今後はヒト肥満細胞株や皮膚などの各臓器由来の肥満細胞自体を用いての検討が必要と思われる。さらに、低分子カルシウム受容タンパク質(S100 protein family)を介する新しい細胞内信号系を解明するために、S100proteinsと選択的に相互作用を持つ抗アレルギー薬(cromolyn, amlexanox, olopatadine)を分子プローブとして、薬物とS100A1の相互作用ついて各種のS100 A1 mutantを作成して検討した。CromolynやamlexanoxはS100A1のC-terminalextensionと結合するが、olopatadineはややN-terminusよりの異なった部位に結合する。S100A1 mutantのカルシウム結合に伴うconformational changeおよび2量体影矯能は、wild typeと同様であることから、olopatadineは他の抗アレルギー薬とは異なった部位と結合すると結論された。さらに、olopatadineはS100A1の標的分子であるCapZ, twitchin kinase, Ndr kinaseとS100A1の結合することが明らかとなった。
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