研究概要 |
SCCA1、SCCA2を自発的に産生している頭頚部扁平上皮癌細胞株(SQ20B)、子宮頸部扁平上皮癌細胞株(SKGIIIa)を用いて細胞分画を行い、さらにSCCA1 SCCA2のmonoclonal antibodyを用いてwestern blotをおこなったところ、cytosol分画にのみSCCA1、SCCA2は検出された。次にSCCA1あるいはSCCA2の放射線照射による細胞障害に対する影響について検討した結果、SCCA1-GFP,SCCA2-GFPを導入した安定細胞株はコントロール細胞に比べ、明らかに放射線照射による増殖抑制に対し抵抗性を示した。SCCA1-GFP,SCCA2-GFPそれぞれの遺伝子導入細胞において、その抵抗生に明らかな差は認められなかった。また、核染色で形態を観察したところ、アポトーシス変化を示す核の破砕、濃縮が、SCCA1-GFP,SCCA2-GFPそれぞれの遺伝子導入細胞において、コントロール細胞に比し軽度であった。我々は、非ストレス時、Cytosolに局在しているSCCA1とSCCA2が、放射線照射による細胞障害時に核へ移行し、核を保護する可能性について検討した。しかしながら、SCCA1-GFP,SCCA2-GFPそれぞれの遺伝子導入細胞において,0-10Gyの範囲の放射線照射によるGFPの局在に変化は認められなかった。放射線照射刺激後、p38 MAP kinase,p44/42 MAP kinase,c-Junのリン酸化をwestern blotで観察した。これらのMAP kinase pathwayは、放射線によるアポトーシスの誘導と関連していると言われているが、今回のstudyにおいても、これらの細胞株のp38 MAP kinase,p44/42 MAP kinase,c-Junのリン酸化は、放射線照射後、増強していた。SCCA1、SCCA2を導入した安定化細胞株は、コントロール細胞に比し、リン酸化の程度が弱かった。SCCA1、SCCA2発現によるアポトーシスの回避は、MAP kinase Pathwayを介していることが示唆された。
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