研究概要 |
「目的」高度の磁気共鳴(MR)技法をヒト用超超高磁場装置で実用化し、非侵襲的な脳循環代謝機能画像法を開発し脳神経疾患の病態解析に適用した。 「方法」大別して3項目の研究からなる。第一は、種々のMR技法を超高磁場下で発展させ、高精細の脳機能代謝画像法、非侵襲的な超高速脳血流画像法、神経細胞興奮伝達画像の開発、などの新技術の開発を行った。第二はこれらの技法を動物実験モデルで応用し、病態解析を行った。第三はこれら技術的・基礎的研究を基に臨床応用を試みたこと、である。第1年度では、主に動物実験用NMR装置(7.OT Inova, Varian)を用いて超高磁場でのMR法による脳循環代謝機能画像の実用化のための基礎検討を行った。第2年度では動物実験用装置での経験を基に超高磁場ヒト用MR装置(3.0T, Signa Horizon)を用いて以下のような脳循環代謝機能画像法の実用化とその応用研究を行なった。 (1)超高磁場での化学シフト画像法の実用化:3.0T装置でIH-MRS化学シフト画像法を実用化し、空間分解能と測定時間を短縮した。脳組織の代謝変化の詳細な画像解析が可能となった。 (2)高速3次元拡散強調画像法:拡散テンソルの情報を用いて3次元的な物質め拡散速度や方向性を示す画像を実用化した。水分子の脳組織での立体的な拡散と神経線維の方向性を解析でき、各種疾患の早期検出や組織特異性の解明に適用できるようになった。 (3)2次元NMR法の生体への適用:2次元相関MRS(COSY)の測定を検討し、従来のMRSでは不可能であった物質の検出を可能ならしめた。神経細胞に重要な各種アミノ酸や細胞膜成分の解析が可能となった。今後のMRSの新しい発展へ応用できることが明らかになった。 (4)funtional MRI(fMRI)の精度向上:超高磁場装置でfMRIの時間分解能,空間分解能を高め、データ処理法の最適化にてfMRIの信頼性の向上を図った。 「結論」高度のmulti-modality MR法を超高磁場下で駆使することにより、非侵襲的な脳循環代謝機能の画像解析が可能となり、各種の病態解析に適用できることが明らかとなった。今後種々の病態への適用を行いつつ、本方法の拡張・発展の研究を遂行してゆきたい。
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