研究概要 |
MMN(ミスマッチ陰性電位)は、前注意的脳情報処理に関連する記憶過程を反映する。また統合失調症の前注意的処理障害はMMNに関連している。本研究では、時間統合窓Temporal Window of Integrationに反映される感覚記憶内部の逸脱検出感度の変化を明らかにし(2001,2002,2004)、その時間変化も明らかにした(2005)。時間統合と音凝効果との関係も報告した(2001,2003)。MMNに反映される知覚的認知反応は、ガンマ帯域脳反応に反映される認知反応とは異なる神経基盤を有することも示した(印刷中)。CNV(随伴陰性変動)も、覚醒水準などを反映する事象関連電位の重要な脳反応成分であるが、これらの半球間非対称性(2002)、注意散乱効果なども報告した(2004)。ヒバ油芳香暴露下におけるCNVとMMNを比較し、MMNが安定した脳反応であることを示した(2002,2001)。MMNには側頭部と前頭部の成分分離を報告してきたが(2000)、統合失調症では側頭部MMNが急性期で減衰し寛解期で回復し、前頭部MMNは病相に関わらず低振幅である事を見出した(2002,2002)。以上の発生源に関する所見をまとめ(2003)、言語性MMNに反映される知覚の相違を報告した(2003)。その上、N1,MMN,P3a成分ならびにRTを指標として、統合失調症における注意メカニズム障害を明らかにした(2003)。一方で、周波数統合と時間統合機能を統一する所見および概念を報告した(2003)。以上を踏まえて、統合失調症患者における背景音声言語の自動的処理過程の検討を行った結果、統合失調症患者においてはMMNの基盤にある感覚記憶の時間統合機能障害が存在することを報告した(2003)。以上の研究をまとめ、MMN研究の歴史も合わせて振り返った総説も発表した(2004,2003)。
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