研究課題/領域番号 |
12670926
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 司 東京大学, 保健管理センター, 助教授 (50235256)
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研究分担者 |
加藤 進昌 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10106213)
徳永 勝士 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40163977)
岩波 明 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80276518)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2001年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 精神分裂病 / 神経発達障害 / 遺伝 / HLA / 出生季節性 / 感染 / 地域性 / 環境 / 感染症 / 地域差 |
研究概要 |
分裂病の少なくとも一部で感染・免疫機能が発病と関連していることは、慢性関節リューマチとの負の関連、患者の免疫機能変化、分裂病患者における出生季節の偏りから強く示唆されている。この機序を少しでも具体化することとさらに詳しい証拠を得ることが、本研究の目的である。具体的には、分裂病患者におけるHLAならびに近傍領域の発達関連遺伝子のタイピングを行い、さらに分裂病にとって重要な胎生期・周産期の環境的要因と深く関連する出生季節の偏りについて検討した。まずHLAについてだが、1980年代を中心に日本(=関東地方の患者対象)の研究を含めて何度か報告されたがその後十分検討されていないHLA-A24、A26の増加について調べるためHLA class-Iのタイピングを行った。これまで分裂病におけるHLAの検討がほとんど行われていない東日本以外のpopulation(長崎県でリクルートした患者・対照者)と、以前にA24・26の増加が報告された関東を近辺の患者・対照を対象に検討した。その結果、いずれの対象においても分裂病におけるA24、A26の増加は認められなかった。関東周辺の対象では出生季節を考慮しての検討も行ったが、結果は同様であった。すなわち、80年代から最近まで繰り返し日本人の分裂病患者で報告されているHLA class-IIのDR1の増加とは対照的に、分裂病とHLA class-Iとの関連については否定的な結果であった。なお、HLA領域内または近傍の有力な候補遺伝子としてTNF、Notch-4などについても検討しているが、現在のところ有意な結果は得られていない。次に出生季節の検討であるが、まず平成12年度は日本人の分裂病患者でも欧米と同様の出生季節性パターンが見出されるかを東京周辺の患者を対象に検討した。その結果、出生季節の偏りは主に男性で見られ、夏生まれによる分裂病発病リスクの減少は顕著だが、冬生まれによるリスク増加は余り目立たなかった。これが出生地の気候と関係するかを検討するため、東北地方出身の患者での分布を調べ東京周辺でリクルートされる患者一般と比較した。その結果、冬季の気候が厳しい東北地方出生の患者では冬季出生の頻度が高いこと、リスクの増大は男性で強いことが認められた。今後は、これらの結果を受けて、HLA-class-IIの再検討、HLA近傍の候補遺伝子、それ以外の免疫関連遺伝子についての解析をさらに進め、それぞれについて出生季節との関連の検討を行いたい。また出生季節の分布については、東北地方など寒冷地域での対象をさらに増やすとともに、それ以外の地域での検討も行うため、現在国内複数施設との共同研究を進めている。
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