研究課題/領域番号 |
12670950
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
斎藤 利和 (齋藤 利和) 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50128518)
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研究分担者 |
相馬 仁 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70226702)
橋本 恵理 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30301401)
小澤 寛樹 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50260766)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2000年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | アルコール / 依存 / 細胞内情報伝達系 / 細胞内Ca^<2+> / CREB / アネキシン / アポトーシス / 死後脳 / 薬物 |
研究概要 |
本研究では、アルコール・薬物による細胞障害性、特にアポトーシス誘導性をcAMPとCa^<2+>を介する細胞内情報伝達系の変化から明らかにしようと試みた。我々は既にアルコール依存症者脳内においてG蛋白質の機能失調やCa^<2+>感受性アデニル酸シクラーゼ(AC)の減少等、cAMP・Ca^<2+>を介する細胞内情報伝達系の異常を認めている。本研究ではcAMP依存性転写因子でありCa^<2+>による調節も受けるCREB(cAMP応答配列結合蛋白)とリン酸化CREBをアルコール依存症者死後脳7領域において調べ、両者とも量的変化を認めなかった。今後、生前の断酒の影響を考慮した検討が必要と思われる。エタノールによる細胞障害活性を培養細胞(ラットグリオーマ細胞株(C6)、ヒト肺腺癌由来細胞株(A549))を用いてMTT法およびカスパーゼ3活性を指標に検討した結果、エタノール濃度・暴露時間に依存してアポトーシスが惹起されることが示された。エタノールによる細胞内Ca^<2+>動態を探る指標としてCa^<2+>・リン脂質結合蛋白質であるアネキシン(脳に発現しているアネキシンI, IV, V)を用い、エタノールの暴露によるアネキシンIVの発現増大を認めた。アネキシンIとVの発現量には変化を認めなかった。一方ヒト死後脳を用いた検討では、アルコール依存症者の海馬でアネキシンIV量が対照群と比較して有意に増大していた。またアルコール依存症患者の末梢血には、健常者に比してアネキシンIVに対する自己抗体をもつ傾向があり、アネキシンIVが依存の生物学的マーカーとなり得る可能性を認めた。アネキシンIVを強制発現した細胞ではエタノール添加によるアポトーシス誘導が強制発現していない細胞に比べて増大し、転写調節因子NFκBの活性増大を伴っていた。これらの結果からアネキシンIVはアルコールによる細胞障害に直接関わっていることが示唆された。
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