研究概要 |
1.Bernard-Soulier症候群患者において見いだした遺伝子異常の発現実験で作成した組み替えプラスミドをもちいてGPIb/IX複合体蛋白の構造-機能相関解明のための解析を施行した。GPIbβ遺伝子のleucine rich repeat (LRR)内のアミノ酸残基(Leu35,Leu45,Leu50およびAsn40)に変異を導入し12種類の変異体を作製した。具体的には各々のLeucine残基はそれぞれ、Alanine, Valine, Phenylalanineに、またAsparagine残基においてはAlanine, Threonine, Cysteineを導入し、変異導入による膜表面GPIb/IX複合体発現量の変化をFACSで、また各GP遺伝子のmRNAをNorthern blottingにより解析した。GPIbβ LRR構造内のアミノ酸残基の変異はGPIb/IX複合体の発現量を著明に低下させた。一方、各GP遺伝子のmRNAに著変はなく、遺伝子発現後のposttranslationalの障害によりGPIb/IX複合体発現量が低下することが証明された。 2.上記で使用したプラスミドからGPIb/IX複合体を発現するstable transformantsを確立した。リストセチン凝集により膜表面に発現したGPIb/IX複合体は正常ヒト血小板レセプターと類似の機能を有することが証明されたが、継代を続けることによりGP遺伝子のmRNA発現が低下し、GPIb/IX複合体発現量も著明に低下した。stable transformantsはGPIb/IX複合体に存在する各種GP遺伝子上に存在する遺伝子多型、特に血栓傾向との関係が指摘されている遺伝子多型と凝集能との関係を機能レベルで検討することに応用可能であることが示唆されたがGPIb/IX複合体の発現量を維持するためにvectorの検討等の対策が必要である。
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