研究概要 |
1、目的 我々は、インターロイキン(IL)-12、受容体、JAKキナーゼ、転写因子STAT4のシグナル伝達経路を明らかにしてきたが、その下流で制御される標的遺伝子については不明のままである。IL-12はNK細胞による細胞傷害性の作用を増強する。そこで、NK細胞の分泌する細胞傷害因子であるパーフォリン(Pf)のプロモーター領域について検討した。 2、方法と結果 ヒトNK細胞株をIL-12で刺激し、RNAを抽出しでノザーンブロットを行なうと、Pf遺伝子の発現の増強が認められた。Pf遺伝子のプロモーター領域には、STAT結合配列(TTCNNNGAA)に類似した配列が数ヶ所認められた。STAT結合配列が二つ並んだ部分(-1089から-1081と-1063から-1055)を用いてゲルシフトアッセイを行なったところ、STAT1,3,4,5の結合が認められた。このSTAT結合配列に変異を加えると、ゲルシフトアッセイで、STAT4の結合が認められなくなった。Pf遺伝子のプロモーター領域を用いて、ルシフェラーゼアッセイで解析すると、転写活性が認められた。二つ並んだSTAT結合配列の片方づつに点変異を加えると、いずれか一方に変異を加えるだけで転写活性が著しく低下した。これらのことから、Pf遺伝子のプロモーター領域にある二つのSTAT結合配列の両方が転写には必要であることがわかった。 3、結論 Pf遺伝子の発現の制御には、プロモーター領域にある二つの並んだSTAT結合配列が重要であり、サイトカイン、JAKにより活性化されたSTATが二量体や四量体になって、並んだSTAT結合配列に結合する機序が考えられる。
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