研究課題/領域番号 |
12670981
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小嶋 哲人 名古屋大学, 医学部, 教授 (40161913)
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研究分担者 |
山本 晃士 名古屋大学, 医学部・附属病院, 医員
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2001年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2000年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | ヘパラン硫酸プロテオグリカン / ryudocan / 欠失マウス / focal adhesion / fibronectin / 腎臓機能障害 / カッパーカラゲナ / 閉塞性腎症 / カッパーカラゲナン / マウス / 細胞接着 |
研究概要 |
近年、組織での構造形態を形成維持するために重要な細胞基質結合部・focal adhesionの形成についてヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)・ryudocanの関与が数多く報告されている。我々は平成12年度、ryudocan欠失マウスの胎児よりryudocan欠損線維芽細胞を単離培養し、そのfocal adhesion形成におけるryudocanのもつ機能の解析を試みた。その結果、fibronectin上で培養したryudocan欠損線維芽細胞でもfocal adhesionは野生型と同様に形成され、ryudocanがfocal adhesion形成に必須ではないことが判明した。また、ryudocan欠損線維芽細胞では、内因性fibronectinが野生型と同様にfocal adhesion周囲に局在し、ryudocanが内因性fibronectinの局在にも大きな影響を及ぼさないことが示唆された。しかしながら、fibronectinのヘパリン結合フラグメントを培養液中から供給した場合、野生型に比較してryudocan欠損線維芽細胞ではfocal adhesion形成は見られなかったことより、ryudocanは基質に結合した状態のfibronectin・ヘパリン結合ドメインもしくはヘパリン結合フラグメントからのシグナル伝達には必須でない一方、培養液中の可溶性fibronectihのヘパリン結合フラグメントからのシグナル伝達には必要であることを報告した。平成13年度には、マウス腎臓におけるryudocanの局在、ならびにryudocan欠損による賢臓機能障害について検討した。成体マウス腎臓での組織免疫学的解析では、乳頭、髄質の集合管、遠位尿細管、皮質の一部の遠位尿細管および糸球体、さらに一部の毛細血管でryudocanの強い発現を認めた。しかし、ryudocan欠失マウスでも腎臓の組織像に異常がなく、ryudocanが腎臓組織形成・分化に必須ではないことが分かった。また、成体マウスにおいて腎障害をもたらすカッパーカラゲナン75mg/kg腹腔内投与して検討した結果、野生型では24匹中1匹も死亡しなかったのに対して、ryudocan欠損型では約30%(7匹)が1週間以内に死亡した。そして、カッパーカラゲナン投与1日、4日後に生き残ったryudocan欠損型マウスのBUNを測定した結果、野生型と比較し有意に高値を示した。また、死亡原因を検討するため、カッパーカラゲナン投与後に衰弱したryudocan欠損マウスの諸臓器の組織像を検討した結果、腎臓の髄質が高度に変性し、皮質尿細菅の著明な拡張所見を認めた。アルシアンブル染色及びカラゲナンに対する免疫染色の結果、変性した髄質にはカッパーカラゲナンが多量に沈着しているのを認めた。これらの変化は野生型では軽度であった。また、他の臓器には死亡をもたらすような明らかな異常を認めなかった。これまでカッパーカラゲナンは集合管に沈着し閉塞性腎症をもたらすことが報告されている。従って、集合管に発現しているryudocanが欠損することによりカッパーカラゲナンが集合管に沈着しやすくなり、その結果腎臓の髄質が高度に変性し閉塞性腎症に至り腎不全に陥ったことが考えられた。
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