研究課題/領域番号 |
12670991
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
石川 秀明 山口大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40294623)
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研究分担者 |
津山 尚宏 山口大学, 大学院・医学研究科, 助手 (10335747)
河野 道生 山口大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40161343)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2000年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 骨髄腫細胞 / IL-6 / 細胞増殖 / CD45 / FGFR3 / src型PTK / STAT3 / ERK1 / 2 / 骨髄腫 / PLC / Caイオン / CD19 / src / STAT / MAPK / アポトーシス |
研究概要 |
ヒト骨髄腫細胞株におけるIL-6反応性増殖を調べたところ、CD45を発現している細胞株のみがIL-6に反応して増殖し、CD45の発現を欠く細胞株ではIL-6受容体を発現しているにもかかわらず、IL-6に反応できなかった。CD45^-とCD45^+両方の細胞集団を持つU266を含めてこれらの細胞では、IL-6刺激でSTAT3とERK1/2の活性化が同程度に認められた。しかしながら、src型PTKの活性化はCD45^+細胞でのみ観察され、src型PTK選択的阻害剤の投与により、CD45^+細胞のIL-6反応性増殖は顕著に抑制された。さらに、CD45^+U266ではPLC-γ2の活性化に伴うCaイオンの増加、PKCの活性化が見られ、PLC選択的阻害剤の投与により、やはりCD45^+U266のIL-6反応性増殖は顕著に抑制された。以上より、骨髄腫細胞がIL-6に反応して増殖するためには、STAT3とERK1/2の活性化だけでは不充分であり、CD45の発現により制御されると思われるsrc型PTKの活性化、さらにその下流PLC-γ2の活性化が必須であると考えられた。 また、FGFR3を過剰発現する骨髄腫細胞株KMS11はCD45陰性でありIL-6と無関係に増殖するが、FGFと一緒にIL-6で刺激すると細胞増殖が促進された。FGFによりPI-3Kやp70S6Kなどが活性化されており、この細胞ではU266におけるCD45、Lyn、PLC-γ2、Caイオンの増加といった一連の反応の代りにPI-3Kを介したp70S6Kの活性化がIL-6で活性化されるSTAT3やERK1/2の活性化と一緒になって初めて増殖刺激を誘導していると考えられた。 これらの知見から、骨髄腫細胞にはCD45を発現している細胞と発現していない細胞が存在し、CD45陽性細胞のみがIL-6に反応して増殖でき、CD45陰性細胞でもそれを代替するような分子が過剰発現している場合はIL-6反応性増殖を示す可能性があると考えられる。骨髄腫細胞のIL-6反応性増殖には、IL-6によって活性化されるSTAT3とERK1/2の活性化だけでは不充分であり、他の刺激伝達分子の活性化(U266におけるCD45の発現、src型PTK、PLC-γ2の活性化、またはKMS11におけるFGFR3の過剰発現、PI-3K、p70S6Kの活性化など)が必要であると結論された。
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