研究概要 |
1.CYBBプロモータにおけるPU.1/HAF-1の役割 網羅的に点変異を導入したプロモータ断片の,PLB-985細胞におけるレポーター活性とこれへのPU.1およびHAF-1の結合親和性を定量し,以下の成果を得た.(1)PU.1が主要な転写因子である.(2)結合活性から,新たなプロモータ異常CGDを予測できた.(3)CGDの遺伝子治療に適切なプロモータ変異を提唱した. 2.CYBBプロモータの新たなシスエレメントの役割 CYBBプロモータに新たなGATA結合部位を見つけた.既に報告した-98GATA-siteに結合するGATA-1および-53Pu-siteに結合するPU.1が作用するにはこの新たな結合部位とこれに結合するGATA-1が必須であることが示された(論文準備中). 3.IRF-4のBリンパ球での役割 IRF-4のgp91phox発現阻害の現象は再現性良く認められたが,対照として用いていた単球系の分化におけるIRF-4の新たな作用が認められ,細胞学的にこちらの方がより重要と思われたので,その解析を進めている(論文準備中). 4.好中球/単球の好酸球化によるCGDの遺伝子治療モデルの試み 培養細胞での予備実験を経て,プロモータ異常CGDの末梢血単球へGATA-1遺伝子をアデノウイルスベクターやリポソームで導入を試みたところ,GATA-1遺伝子の無い空ベクターでも,CYBBを活性化できた.従って,遺伝子導入よりも,PU.1以外に新たに誘導されたと思われる内因性転写因子の同定が必要と思われた.しかし,これ以上の解析はペンディングとなっている. 5.単クローン抗体のCYBB発現制御や遺伝子治療への応用の基礎確立 系統的な解析を行い,7D5がgp91phoxの細胞外ペプチドの立体構造を認識することを遺伝子工学的なデータを加えて明らかにし,7D5の今後の応用への道を開いた.
|