研究概要 |
慢性骨髄性白血病(CML)は多能性幹細胞の腫瘍化と考えられるか、その憎悪機構はまだ十分には解明されていない。我々はCMLの急性転化においてSNF5遺伝子の異常を解析した。 CML等の造血器腫瘍で染色体分析を行ない、SNF5遺伝子が局在する22qを含む染色体異常を184例で認めた。CMLでは122例全例でt(9;22)(q34;q11)を認め2例で22q-を伴っていた。他の造血器腫瘍でも-22や22q-を認めた。骨髄異形成症候群(HDS)の1例では-22,del 22(q11.2 q13)を認め、SNF5の両方の対立遺伝子が欠失している可能性が示唆された。 CMLの30例で慢性期、急性転化の細胞からDNAを抽出しD22S282、D22S283においてLOHを解析し18例中2例においてLOHを認めた。HDS24例でも白血病に進展後でD22S282、D22S283においてLOHを解析し、1例においてLOHを認めた。多発性骨髄腫で-22や22q-を数例で認めたため、21症例でDNAを抽出し22q上の10個のmicrosatellite markerを用いてSNF5遺伝子座近傍でのLOHの有無とその領域について解析をした。これまで複数例でLOHを認めており欠失領域を同定している。CHLの急性転化8例および-22や22q-を伴った造血器腫瘍においてSNF5遺伝子のexon 1-9をPCR-SSCP法で解析し変異を検索した。CHLの1例でexon 9を含む断片にband shiftを認めたがポリモルフィズムであった。 MDSの1例でSNF5遺伝子の両方の対立遺伝子が欠失している可能性が示唆されたためFISH法でSNF5遺伝子自体について解析している。SNF5遺伝子に変異が無くても、そのhaploinsufficiencyがCMLを含む造血器腫瘍の進展に関与している可能性も考えられた。
|