研究概要 |
本研究では、type 1フォンビルブランド病(VWD)とフォンビルブランド因子(VWF)分子上の糖鎖構造の相関解明をめざして、各種レクチンを用いたスクリーニングを行った。あわせてヘビ毒由来の血栓形成制御因子の構造決定と作用機作の解析を行った。 1)血液型認識レクチンのうち、HPAとUEA-IがそれぞれVWF上のA型、O(H)型糖鎖を高感度で認識し、糖鎖の分画にも有用であることを明らかにした(BBA,1525:50-57,2001)。また、O型由来のVWFとtype 1 VWD由来のVWFでは、末端のシアル酸を認識するレクチン(SSAやSNA)やH型構造を認識するTJA-IIやUEA-Iとよく反応する傾向を発見した。この結果は、O型由来のVWFやtype 1 VWD由来のVWFで、シアル酸含量が高いこと、また、type 1 VWDでH型構造が多い可能性を示唆した。 2)VWFを特異的に一カ所で切断し、血小板凝集活性を消失させるコーシャギンの全アミノ酸配列を決定し、Cys-richドメインもジスインテグリンとして機能することを発見した(Biochemistry 40:4503-4511,2001)。VWF活性化因子であるビチセチンの立体構造を結晶解析により明らかにし、分子中央のくぼみに、負電荷に富み、VWF-結合サイトと思われるパッチ構造が存在することを発見した(Biochemistry40:13592-13597,2001)。 3)先天的な血栓性血小板減少性紫斑病であるUpshaw-Schulman症候群患者では、生理的なVWF切断メタロプロテアーゼが低下しており、超高分子量VWFが切れないため、血栓性となることを見いだした(Int.J.Hematol,74:101-108,2001,Int.J.Hematol.75:25-34,2002)
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