研究課題/領域番号 |
12671084
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
内分泌学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
船橋 徹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60243234)
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研究分担者 |
木原 進士 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20332736)
中村 正 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90252668)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | adipocytokine / adiponectin / インスリン抵抗性 / 肥満 / adiponectin |
研究概要 |
アディポネクチンは私達が見出した脂肪細胞特異的な新規分子で、コラーゲン様の繊維状ドメインと補体様の球状ドメインからなる分泌蛋白である。私達はアディポネクチンが血管平滑筋細胞の増殖抑制や血管内皮細胞の接着分子発現抑制など血管機能に様々な影響を与えることを示し、脂肪細胞特異的発現を示すにもかかわらず、内臓脂肪蓄積時には血中濃度が低下していることを報告してきた。インスリン抵抗性は動脈硬化とともに内臓脂肪蓄積により招来される重要な病態である。本研究ではインスリン抵抗性における本分子の意義について検討した。2型糖尿病患者では肥満度に関わらずアディボネクチン血中濃度が低下しており、特に大血管症合併例で著しいが、非合併例でも低値を示した。2型糖尿病を高率に発症するPima Indianでは肥満度を合わせた白人に比し、血中アディポネクチン濃度が低下していた。血中アディポネクチン濃度はグルコースクランプ法で測定したインスリン感受性の程度と正相関し、インスリン感受性で補正するとPima Indianと白人における血中濃度の差は消失した。自然発症2型糖尿病モデル動物でも血中アディポネクチン濃度はインスリン感受性と正相関することが示され、さらにlongitudinal studyにより血中アディポネクチン濃度の低下はインスリン抵抗性発症に先行し、本分子の分泌不全がインスリン抵抗性発症の一因となる可能性を示した。またPPARgリガンドであるチアゾリジン誘導体が、脂肪細胞におけるアディポネクチン発現,分泌を促し、血中温度も増加させる作用を有することから、これが本剤のインスリン感受性増強作用の一要因である可能性が示された。以上よりアディポネクチンは抗動脈硬化作用とともにインスリン抵抗性防御作用をあわせ持つメタボリックシンドロームのキー分子であり、内臓脂肪蓄積時の本分子の分泌不全が動脈硬化、インスリン抵抗性の発症に深く関わっていることが考えられた。
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