配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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研究概要 |
胃癌,大腸癌におけるアンギオゲニンの発現動態とその臨床的意義について,平成12年度~平成14年度科学研究費補助金により検討した.血清中のアンギオゲニンの濃度はELISA法,組織中のアンギオゲニン蛋白やそのmRNAの発現については,免疫染色法、In situ hybridization法にて検討した.なおIn situ hybridization法はこれまで報告されておらず,われわれが独自に開発した.胃癌については123例の胃癌患者血清と対照として健常人65例の血清を,大腸癌については94例の大腸癌患者血清と対照として健常人52例の血清を用いた.また組織として,52例の胃癌組織,58例の大腸癌組織および非癌部正常組織を用いた.得られた結果として,癌の進行度に比例して血清中のアンギオゲニンが有意に高値を示すこと,癌組織中のアンギオゲニン蛋白やそのmRNAの発現は非癌部正常組織のそれと比較して増加し,さらにそれが血清中のアンギオゲニンの濃度と比例すること,癌の浸潤先端部でのアンギオゲニンの発現が増強していること,血清中のアンギオゲニンの濃度が術後の無再発期間,術後生存率と有意に逆相関すること,を確認した.これまでアンギオゲニンは蛋白分解酵素としての活性を持つことが報告されており,浸潤先端部でのアンギオゲニンの高発現は癌の浸潤に有利に働き,それが癌の悪性度に反映していることが考えられる.さらに実際の患者の生存率解析から,アンギオゲニンの発現が癌の進行度を反映し,術前の悪性度予測,再発におけるマーカーとして利用できることが示唆された.これらのアンギオゲニンの消化器癌における臨床的意義はこれまで国際的にもまったく報告されておらず,われわれの知見が初めてである.
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