研究分担者 |
谷村 弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10026990)
岩橋 誠 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70244738)
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
角田 卓也 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (30275359)
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研究概要 |
我々は,p53特異的,HLA-A24拘束性のcytotoxic peptideをmappingすることを最終目的とし,ヒトとマウスのp53の相同性より,候補peptideを合成した.まずこれらのpeptideがHLA-A24分子と結合しうることを確認するために,酸処理後にflow cytometry用いて評価するpeptide binding assayを確立した.われわれのbinding assayは,すでにcompetitive binding assayでbinding affinityが測定されているHER2/neuやCEAのpeptideを用いた検討により,両assay間には有意な負の相関(r=-0.834,p<0.01)を認めた.マウスのKdおよびKb拘束性のcytotoxic peptideより類推し,合成したヒト野生型p53由来の候補peptide, PU137(ヒトp53のN末端より137-148,LAKTCPVQLWVD),PU161(161-169,AIYKQSQHM),PU235(235-243,NYMCNSSCM)のHLA-A24に対するbinding affinityを,確立したbinding assayにて検討した結果,3つのうち2つのpeptideがHLA-A24に十分に結合することが明らかとなった.3つのうち1つのpeptide(PU161:AIYKQSQHM)を用いて、2人の健常人より3つのCTL細胞株を樹立しえた。誘導したCTLは、PU161をパルスし結合させた標的細胞を特異的に傷害するだけでなく、p53遺伝子に変異をもち、細胞内にp53を過剰発現している腺癌株をも傷害し、このpeptideが、これまでに報告のないHLA-A24拘束性p53特異的epitope peptideであることを明らかにした。さらに、HLA-A24の結合モチーフを参考に、PU161のN末端から2番目とC末端のアミノ酸を置換し、HLA-A24に対する結合強度を高めた新規置換peptide(PU161Y2L9:AYYKQSQHL)を合成し、このpeptideが確かにHLA-A24分子に結合し、T細胞によって認識されることを証明した。 以上より、HLA-A24拘束性p53特異的エピトープ・ペプチドや、その置換ペプチドを用いた新しい癌ワクチン療法の可能性が示唆された。
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