研究分担者 |
松野 勝典 久留米大学, 医学部, 助手 (70279230)
川口 千晶 久留米大学, 医学部, 助手 (90309849)
疋田 茂樹 久留米大学, 医学部, 助手 (10189764)
秋吉 建二郎 久留米大学, 医学部, 助手 (80268945)
浅桐 公男 久留米大学, 医学部, 助手 (90268946)
TSURU Tomomitsu Kurume University, Foulty of Medicine, Fellow (80197764)
|
研究概要 |
【目的】短腸症候群における消化吸収の代償が空腸を残存した場合と回腸を残存した場合で如何に異なるかを糖質の吸収能について検討した。【対象と方法】Lewis系雄性ラット(体重150〜300g)80頭を用いて,エーテル麻酔下に開腹し、空腸あるいは回腸を切除し,残存腸管を端々吻合し短腸モデルとした。閉腹後は,ラット固形食にて栄養管理を行い、空腸残存群(n=21),回腸残存群(n=21),無処置群(n=7)とした.短揚モデルの各7頭を手術後1週間、1ケ月、3ケ月後に犠死させ、摘出した空腸および回腸で以下について検討した。【検討項目】1)体重の推移、2)Ussing type chamberを用いてのPotential Differenceの測定による単位面積当たりの糖質の能動吸収能3)組織標本のHE染色における絨毛高、陰窩長、絨毛数、筋層厚のミクロメーターによる計測地による単位長当たりの吸収面積4)グルコーストランスポーターであるSGLT1,GLUT2抗体による免疫組織学的検討【結果】1)体重の推移では各群とも3ケ月後には有意差を認めなかった。2)組織形態学的には空腸残存でば絨毛高は1週間群から有意に増加していたが、絨毛数と筋層厚は3ヶ月群で有意に増加を認めた。回腸残存では絨毛高および筋層厚は1週間群より著明な増加を認めた。3)グルコーストランスポーターであるSGLT1抗体,GLUT2抗体を用いた免疫染色では各群とも同様に染色されており、単位面積当たりのトランスポーターの数に明らかな差異は認めなかった。4)糖質の能動吸収能は空腸残存群では1週間,1ケ月では有意な増加を認めず,3ヶ月目に有意こ増加していた。回腸残存では1週間目,1ヶ月目,3ヶ月目と徐々に増加し、コントロールと比較していずれの値も有意に高値であった。【結論】短腸になった小腸において,糖質の吸収能の代償は,能動吸収能が重要な役割を果たす。空腸残存と回腸残存では能動吸収能,組織学的形態変化による吸収面積の変化においても異なる過程を経ることが明らかで、糖質吸収の代償は空腸は回腸に比べて遅れて代償されることが明らかになった。
|